- 著者: 池田 晶子
- タイトル: メタフィジカル・パンチ―形而上より愛をこめて
『14歳からの哲学』がベストセラーとなった著者が若かりし頃に書いた辛口人物批評集。昨年、僕は中島義道の新書をいくつか読んだ。『不幸論』などはその極みだったが、健全に生きていくには不要の論理で、読んでいて息苦しくなる。哲学者が書いた本をそれほど頻繁に読んでいるわけではないが、またも当たりを引いてしまった。
哲学とは、人がそれを自明のこととして生きている全価値、全事実、全存在を、根底から、否、根底の向こうへこそ、疑い、考え抜こうとする思考の性癖だ。あれは癖だ。世が自明と信じているものを、信じたくても信じられない変わり者が、信じられなくて考えてしまう反社会的癖なのだ。生命は素晴らしいとか、幸せになるにはこうすればよいとか、社会は平和であるべきだとか、その他のたぐいの、問う以前から実は既にそれが答えであるような人生論とは、真っ向相反してしまう狂気の思考なのだ。
この文章は著者が『ソフィーの世界』などの哲学ブームを罵倒しているくだり。基本的にずっとこのテンションなので読んでいて疲れた。中島義道も同じような事を言っているのだが、彼の場合、この狂気の思考に捕らわれてもがき苦しんで生きていく人生でいいではないか、と無理やり人生論風になっている気がする。
分からないことを有難がってはいけないと本書のなかに書いてあったので、内容が難しすぎてさっぱり理解できなかった僕も、本書を有難がるのはやめておこう。哲学が有難いとは思わないけど、池田晶子の本はまた読んでみたいと思う。哲学というより池田晶子が面白い。
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- 著者: 池田 晶子
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著者: ヨースタイン ゴルデル, Jostein Gaarder, 池田 香代子