山本周五郎賞受賞『明日の記憶』『君たちに明日はない』&三島賞受賞「六○○○度の愛」 | 砂場

砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

著者: 荻原 浩
タイトル: 明日の記憶


著者: 垣根 涼介
タイトル: 君たちに明日はない

さすが、僕のなかでは直木賞よりも信頼している山本周五郎賞。


本屋大賞の2位にランクインした荻原浩『明日の記憶』と、昨年度に『ワイルド・ソウル』で大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と三冠達成で勢いのある垣根涼介が『君たちに明日はない』で受賞。 他の候補作には、『チルドレン』伊坂幸太郎、『私が語りはじめた彼は』三浦しをん、と本屋大賞候補作にもなった2作品と『ナラタージュ』島本理生。


こうしてみると、今回はどれが受賞してもいい新進気鋭の作家によるレベルの高い作品ばかりだ。個人的には『私が語りはじめた彼は』なのだが、『明日の記憶』の受賞なら素直に喜べる。小説は読んでいる時はものすごく面白くても、後から思い返すとそうでもないものがあるが、『明日の記憶』の読後感はまったく色褪せない。僕は3ヶ月以上前に読んだのだが、あのラストシーンは未だ鮮明に思い浮かべることができる。


『君たちに明日はない』はリストラを専門に請け負う会社に勤める主人公の恋と仕事を描いたエンターテイメント小説。垣根涼介はハードな犯罪小説が多かったので、この作品での受賞は意外だ。作者の方向性と違った作品で受賞すると足枷になりかねないが大丈夫だろうか。


こういうサラリーマン小説を書かせたら今の日本の作家では荻原浩が一番だと言われている。その荻原浩の大傑作『明日の記憶』と並んで受賞させるということは、『君たちに明日はない』の完成度はかなりのものだと考えられる。『君たちに明日はない』と『ナラタージュ』は来年の本屋大賞候補に入りそうかな。読まねば。


そして三島賞は「六○○○度の愛」鹿島田真希。 「新潮」平成十七年二月号掲載なのでまだ未刊。


候補に『となり町戦争』があって少し驚く。小説すばる新人賞受賞作なのでエンターテイメント系に分類されるのかと思っていたら文学系の三島賞の候補。この調子だと次の芥川賞候補に入るかも知れない。芥川賞を取ったら盛り上がるだろうなあ。輝ちゃんさえ押さえ込めば受賞もありえそうなのだが。


関連書籍
著者: 垣根 涼介
タイトル: ワイルド・ソウル
著者: 伊坂 幸太郎
タイトル: チルドレン
著者: 三浦 しをん
タイトル: 私が語りはじめた彼は
著者: 島本 理生
タイトル: ナラタージュ
著者: 三崎 亜記
タイトル: となり町戦争