2005年2月 今週の文庫TOP10 | 砂場

砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

細木数子もベストテンから姿を消したようなので、今回は見所満載の文庫TOP10の紹介で行きます。某大手書店調べ。ちなみに、来週の1位と2位は先日発売された『海辺のカフカ(上・下)』の予定。



著者: 江国 香織
タイトル: 泳ぐのに、安全でも適切でもありません

1位。タイトルが素晴らしい。第15回山本周五郎賞受賞作。文学賞に詳しい人なら知っているが、山本周五郎賞は直木賞よりもよほど信頼できる。江国香織はこの賞を取ってから、直木賞を受賞した。このパターンはけっこう多い。京極夏彦は『覘き小平次』で山本周五郎賞を取り、次作の『後巷説百物語』で直木賞を取ったが、作品のレベルと言うと前者のほうが圧倒的に上。売り上げ効果を無視するなら、直木賞がなくなって山本周五郎賞があるのでいいかなと思う。



著者: 堀江 貴文
タイトル: 100億稼ぐ仕事術

2位。業界の常識を無視して、1年と数ヶ月で文庫化。さすが既存の枠組みを破壊するためだけに存在するホリエモン。本書はSB文庫という新創刊の文庫だが、エスビー食品とは関係なくて、ソフトバンク文庫。ホリエモンの本をソフトバンクが出版するというのも、なかなか面白い。このタイミングだからこそ文庫2位にライクインしたのは間違いない。これも想定の範囲内ということで。



著者: 福井 晴敏
タイトル: 終戦のローレライ (1)

3位&4位&5位&10位。。映画公開直前に会わせた発売ということで全4巻がすべてベストテン入り。といっても映画原作本というだけでなく、『2000年版このミステリーがすごい国内編』3位という実力派だ。この年は1位が天童荒太『永遠の仔』、2位が東野圭吾『白夜光』と大傑作なので、3位といっても例年の1位クラスと言ってもいいだろう。しかも、今月中のは全四巻ボックスで文庫初のフィギア付きという代物も発売される。小説は折り紙つきだが映画はどうかな。これからの売れ行きは映画の成否に大きく影響される。



著者: 江原 啓之
タイトル: 本当の幸せに出会うスピリチュアル処方箋

6位。今までもベストセラーだったが、さらにブームに火がついた様子。どこまでも前向きな考え方。「僕たちは落ちこぼれの天使」と言ってしまえる前向きさが大好き。天使ときたか。今までは「スリピチュアル」とか「スピチュリアル」とうろ覚えだったので、お客様の問い合わせの時も適当に口をもごもごさせて、それらしく聞こえるように誤魔化していたが、最近になってやっと「スピリチュアル」と言えるようになった。僕のなかではすごい前進なのだが、いまいち誰も誉めてくれない。

1 “自分を育てる”たましいの幸福箱―あなたは幸せになるために生まれてきました
2 幸せな恋、結婚、人間関係への約束箱―あなたは愛されるためにここにいるのです
3 仕事、夢、お金の“いい流れ”をつくる好転箱―チャンスは偶然にはやってきません。呼び込むのです
4 美と健康の365日、知恵の箱―心も体も、もっともっとあなたの思い通りになります
5 幸福になる習慣箱―さあ、舞台に上がりましょう。主役はあなたです
6 江原啓之の8つの法則―幸福の扉を開ける鍵 スピリチュアル・ルール




著者: ドロシー・ロー ノルト, レイチャル ハリス, Dorothy Law Nolte, Rachel Harris, 石井 千春
タイトル: 子どもが育つ魔法の言葉

7位。皇太子さまが朗読した詩が載っているので現在、問い合わせ殺到。世界的にもベストセラーの本で、数年前に日本で発売されてからもロングセラー。すでに子育て本の代表のような本だが、今回のことでさらに格が上がった。当たり前のことだど読み流すのは簡単だけど、じっくり読んで、できれば声にだして読んで欲しい。訳が違うので皇太子さまが朗読したものとは若干違うが意味は同じです。

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ




著者: 櫻井 弘
タイトル: 「話す力」が面白いほどつく本―効果は“スグに”現れます!

8位。話し方の本がちょっとしたブーム。新書で現在ベストセラー独走中の『頭のいい人、頭の人の話し方』に引っ張られる形になっている。少し気にかけるだけで、話し方というのは意外と変わるもの。新社会人のかたなどにもお勧めだ。

1章 「話す力」が人生を不思議なほど変える―3つの“コ”ではじまる「話す力」の鍛え方
2章 あなたは「この一言」がすぐ出てくるか―意外と言えない!とても大事な言葉
3章 相手の気持ちをがっちりつかむ「話す技術」「聞く技術」―こんなに簡単にできます!“人に好かれる”会話術
4章 あなたは「話し方」で損をしていないか―言葉づかいの欠点、見つけてしまえばあとは簡単!
5章 これで「敬語」に絶対の自信がつく!―もう困らない!すらすら使える“シンプル・ルール”
6章 一回の電話で人の心をつかめる人は、ここが違う―話し方の「常識中の常識」、あなたは知ってますか?
7章 「話す力」が“いい人間関係”をつくる!―365日使える「とっておきの技術」




著者: 重松 清
タイトル: 流星ワゴン

本の雑誌で年間1位に選ばれた重松清の傑作が文庫化。映画化も決定したようで、ロングセラーは間違いない。僕は『ビタミンF』と『ナイフ』しか読んでいないが、重松清は「家族」を描かせたら、現在の日本の作家ではトップだと思っている。現実を直視する重松清は、決して甘い物語は書かない。ひきこもり、暴力をふるう息子。浮気を重ねる妻。会社からはリストラ寸前。厳しい現実の世界。にそれなのに、読後感は清々しい。泣ける小説と呼ばれるものは多いが重松清の小説で流す涙は、違う。

死んじゃってもいいかなあ、もう…。
38歳・秋。
その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。
そして―自分と同い歳の父親に出逢った。
時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。
やり直しは、叶えられるのか―?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。