お山の妄想の話です。
台詞のみ
考えるな感じろ
「……ねえ、智君」
「ん~っ?」
「耳なし芳一って知ってる?」
「……昔話のやつ?」
「そう」
「なんとなく分かるけど詳しくは知らない」
「ざっくり説明すると、目が不自由でお寺に
世話になってる琵琶法師の芳一が幽霊達に唄
を惚れ込まれて誰にも内緒で毎晩琵琶を披露
するんだけど、日が経つにつれどんどん衰弱
してきて、心配した和尚が調べると芳一が霊
に取り憑かれているのがわかるんだ」
「………ふんふん」
「で、何とか助けようと和尚が芳一の体中に
お経を書くんだけど、耳だけ書くのを忘れて
霊に引きちぎられてしまうってお話だよ」
「……お~、そうそう。そんなんだった」
「それってさ、耳にお経を書くの忘れたから
霊には耳しか見えなかったんだよね」
「……だろうね」
「じゃーさ、芳一に頭髪があった場合どうな
ってたのかな?一本一本には書けないでしょ
睫毛とかも」
「………翔くんは変な事にこだわるんだな。お
寺に住んでたんだから毛はなかったんじゃな
いの?」
「お世話になっているだけで、仏門に入った
んじゃないから髪があったかもしれないよ」
「いやに、細けえな」
「仮に頭髪は剃ってあったとしても、眉毛や
脇まで剃らないでしょ」
「………かもね」
「まあ、それは大した問題じゃないけどさ」
「………じゃ、何が問題なんだよ」
「耳ってさ、普通に目立つじゃない」
「…ま、顔に付随しとるし」
「そうなんだよ、顔を見れば耳も目には入る
のにどうして忘れた?」
「…和尚さん爺ちゃんだからボケたんだろ」
「かもしれないけど、お経を書くのには小僧
さん達も手伝ったみたいなんだよね。だった
ら和尚がボケても小僧さん達は気付くでしょ
耳なんて目立つんだし」
「……小僧さんって?」
「ああ、ほら、アニメの一休さんみたいな」
「修行してる子達かぁ、子供だから気付かな
かったんじゃね?」
「う~ん、それもあるかもね」
「………つーかさ、おいらも翔くんに訊きたい
んだけど、どうして今耳なし芳一なの?!」
「だってさ~、それって和尚は耳にお経を書
き忘れてるのに、普段気にしない下半身には
しっかり書いたって事じゃん」
「下半身??つーかおいらの話を聞け」
「そ、竿とか玉とかには書いたんだよね。取
られてないんだから」
「…だろーけど、おいらの質問…聞いてねぇ」
「どうしてなかぁ、忘れるとしたら耳より玉
じゃない?それこそ隠れてるしさ」
「…………そーかね」
「そーだよ、勃たなきゃ見えないもの」
「………………」
「こんなふうに力強く天を仰げばさ、普段は
隠れて見えないプリップリのふぐりが良く見
えるんだけどね」
「………………おい」
「 ん?なぁに?」
「おめえ、おいらの股の間でずっとそんなこ
と考えてたんか」
「えっ?ずっとじゃないよ、最初は口でやる
か手でやるか考えてたし」
「じゃあ、どーしてだよ」
「いや?何でだろ??」
「わかんねーのかよ!!」
「う~ん、ちょっと待って。今考えてる」
「ふぁ?!この状態で?」
「そうだよ、この体勢にヒントがあるはずだ
もの」
「おいらは嫌だ!さっさと退け!」
「そう言わずに、どうして思考が耳なし芳一
になったか思い出せないと気持ち悪いし、智
君も知りたいだろ?だから協力してよ」
「嫌だ!退け!今日はもうしない!」
「しないとか言わないで!久し振りなんだか
らっ!」
「おいらだって無茶苦茶その気になってたん
だぞ!なのにおっぴろげた股の間でブツを凝
視しながら変なこと言い出しやがって!もう
止めた!萎えるわ!」
「そんなこと言わないでよ~。すぐに思い出
すから。それにこのままじゃ智君が辛いでし
ょ?全然萎えてないし、かえって大きくなっ
てない?見られて興奮してるのかな?」
「馬鹿言うんじゃねー!これは興奮じゃなく
て憤ってんだ!」
「ええ~、そお?でも蕾がピクピクして早く
って言ってるみたいよ?」
「ばっ、バカヤロー!もうヤダ!退けっ!」
「わわっ!危ない!足バタバタさせないで」
「うるせー、退けったら退けっ!」
「ちょっ、マジで危な……ゲフッ!」
「…………あ。顔に当たった…」
「痛って…智君、蹴るなんて酷いよぉ」
「ご、ごめん。イケメン大丈夫か?」
「イケメン大丈夫かって……心配なのは顔だけ
かよ…」
「そんなこと無いよ~、全部心配~」
「もうっ!取って付けたみたいに!
………でも、今の蹴りの衝撃で思い出せたよ」
「ふえ?何を?」
「どうして耳なし芳一だったのか」
「マジで?教えろよ」
「今日差入れで枇杷を頂いたんだ」
「ビワって果物の?」
「そう、初物だったの。凄く大きくて食べる
前にしげしげ見てたら、ある事に気が付いち
ゃってさ」
「なに?」
「果実の下の方ってお尻って言うじゃない、
枇杷って本当にお尻みたい。ていあ部のがく
がお尻の穴に見えるんだ」
「ビワのお尻の穴??」
「うん、サンリオのポム²プリンのお尻みた
いなの。智君見たことない?」
「う~ん、ちょっとわからん」
「そっか、でも俺にはそう見えたんだ」
「へ~、で?」
「でね、さっきまで智君の大事なトコロが
オープンになってて可愛い蕾もまる見えだっ
たでしょ。そこから連想して耳なし芳一にな
ったんだよ」
「全然わからん」
「え~、じゃあ順序立てる。まず智君の蕾→
ポム²のお尻の穴→枇杷の実のお尻→枇杷→
琵琶→琵琶法師→耳なし芳一。かな」
「……どういう思考回路だよ」
「で、何で耳にお経を書き忘れたのかって
さっきの疑問になったんだ」
「……………ソーデスカ…」
「耳の書き忘れは謎のままだけど、思い出し
てスッキリしたっ~!」
「………………良かったな…」
「では、こっちもスッキリするために先程の
続きを……」
「いや、無理」
「えっ!また意地悪言うの?」
「意地悪じゃなく、完全に萎えた」
「マジで?見せてっ、ああっ!!本当だっ!
しょんぼりしてる!どうして?!」
「なんか、翔くんが最中にそんな事考えてた
のかと思ったら悄々になった。久し振りだっ
たのに全然集中してねえじゃん。おいらだけ
ノリノリだったのがバカみてぇ」
「ちょっと待ってよ!俺だってノリノリだっ
たよ!」
「なのに、尻の穴から芳一かよ。何かもう話
聞いてただけで疲れた。もう今日は終了。
おいら寝る」
「嘘でしょっ!俺はまだビンビンなんだよ!
これどう始末するのさ!」
「自分でやれや」
「嫌だよ!あなたがいるのに!」
「おいらはもう寝るの!」
「そんな……酷い…」
「酷くねーよ。おやすみ~」
「…………………………………………………わかったよ」
「聞き分けがいいな」
「勝手にやるから、智君は眠ってていいよ」
「はぁ?!何を言って…」
「大丈夫、眠りを妨げる程激しくしないから
安心して」
「それって睡○姦じゃねえか!」
「恋人同士だから○姦とは違いますよ。
ささ、あなたは気にせずお眠り下さい」
「……………」
「眠ってる恋人に致すって倒錯的だよね、萌
える~」
「……………」
「あれ、なんだか興奮してバキバキになって
きちゃった♡」
「………………………おい」
「ん?」
「先に言っておくが、おいらが寝てる間に悪
さをしたら……」
「したら?」
「新しい物語が生まれるぞ」
「え?どんな?」
「タイトルは〖竿無し櫻井〗か〖玉無し翔く
ん〗だ」
「ええっ?!どういうこと!」
「おいらに悪さしたら、問答無用でちょん切
るってことだよ」
「うっ」
「わかったか?嫌なら大人しく寝ろ」
「うううっ」
「どーすんの?」
「……………寝ます」
「ん、それで良し。おやすみ~」
「おやすみなさい…」
「………………」
「………………」
「………………」
「…………ね、智君…」
「………………ん」
「…………先っぽだけでも……」
「…………………切って三枚に下ろすぞ」
「……………………………おやすみなさい…」
全方向へ御詫び
M字
家の前の枇杷の木を見て妄想
でも枇杷好きじゃない