お山の妄想のお話です。
智君と暮らして、初めての誕生日。
もう智君という人生最高のプレゼントをもら
った後だから、欲しいものはない。
朝目覚めれば隣には智君がいる幸せ。
愛情たっぷりな食事も作ってくれるし、お風
呂だって一緒に入って背中を流してくれるん
だ。それに閨だって♡
最高の恋人、いや既に最高の伴侶としか言い
ようがない。
そんな智君もたまに俺を忘れてしまうことが
あるんだ、それは海に行った時。
お船に乗って沖に出て、お魚と駆け引きをす
ると俺のことを忘れてしまうみたい……
連絡のないまま二日も帰って来ない時だって
あったんだ。
釣りは真剣勝負で、ある意味恋の駆け引きに
似ている。
そう思うととてもジェラシーを感じるんだけど、海の魚を全部どうにか出きる筈もないか
らぐっと我慢するしかない。
そんな俺を癒してくれるのが『領』
彼は愛する人を形どったものなんだ。
領は何時も優しい微笑みを浮かべて癒してく
れる、智君と両想いになる前は俺の心の拠り
所だった。
智君の身代りで、特殊な人形。
大枚を叩いて注文し、智君そっくりに作られ
た領…♡ DOLLは性の始末をするものなんだ。
智君に向ける欲望を何回か領にぶつけようと
した、でも冷たい肌に触れた時やっぱり違う
と思った。
だから領とはしてない、♡ DOLLとして一度
も使っていない未使用品…
智君と想いが通じ合った今は、俺の俺が包ま
れるのは智君の中ONLYだから領は綺麗な身体
のまま微笑み続ける筈だった。
愛する智君と癒しの領、二人が待っている家
こそが俺のティルナノーグなんだ。
しかし、ある時悪魔が俺に微笑んだ。
それは数日間の出張の後の事だった、智君と
会えない淋しさや疲労といったダメージを抱
え這う這うの体で辿り着いた家。
そこで寝室で抱き合い眠る二人を見てしまった。
誤解がないように言うが、抱き合うとは疚し
い事をしていたのではなく腕を互いの身体に
回し眠っていただけ。
きっと俺のいない淋しさをそうして紛らせて
いたんだろう、俺の天使は穢れなく健やかに
眠っていただけなんだ。
それなのに、俺は……
二人にとんでもない欲望を持ってしまった
その欲望は何というか、とーーっても破廉恥
で不埒なもの。
見たいと思った。
何を?
それは、愛する人がSEXするのが見てみたい
ということ。
何時も俺が愛を注いでいる智君がいたしてい
るところを鑑賞したい。
受け身ではなく、男らしく突いているところ
が見たいんだ。
相手は決まっている。
智君の相手は領……
え?俺がされればいいだろって?
馬鹿言ってんじゃないよ、それは無理無理無
理無理無理無理無理無理無理無理……無理!!
いくら命など惜しくないほど愛している智君
でも、それだけは駄目なんだ。
俺が俺であるためのプライドだから
愛する人を守りそして幸せにする、その活力
こそが智君に快楽を与えることなんだ。
しかし、いくら見たいと行っても其処らのヤ
ツなんて許せない。
智君に汚い身体を触らせることなんて出来な
いからね。
それに俺は智君と領のSEXが見たいんだ♡
智君が同じ顔の領を抱くなんて、倒錯的で萌
えしかない。
誕生日のプレゼントは欲しいものなどないと
思っていたけれど、頼んでみようか?
領の〖初めて〗を奪う智君
そんな二人のまぐわいを鑑賞する俺
間違いなく禁断の扉が開いてしまうだろう
どうしても見たい、見たいったら見たい!
………ダメ元で頼んでみる?
なにしろ俺のBDだから、心優しい智君なら
頼みをきいてくれるかもしれない。
*
「はっぴーばーすでー!!」
愛くるしい笑顔で智君がパーティーポッパー
の紐を引き、色とりどりの紙テープや紙吹雪
が頭上に降り注いだ。
テーブルには智君が腕に縒りをかけた料理が
並び、それを囲む席には最愛の人と領がいる
幸福な誕生日だ。
「翔くんへのプレゼント必死に考えた末、名
刺入れにしたんだ」
どうぞ、と、渡された包みを開けると最高級
レザーのカードケースがあらわれた。
営業の俺には必需品、今使っているやつは草
臥れてきていたから買い替えようと思ってい
たところだった。
「ありがとう、大事に使うよ」
「どういたしまして。でもね、それだけじゃ
俺の気がすまないから…」
「えっ!?いいよ、これ以上…」
『これ以上はいらない』と言いかけた、しか
し智君が続けた言葉に慌ててそれを呑み込ん
だんだ。
「今夜は特別に翔くんの言うことを何でもき
いてあげるよ」
「 !!! 」
『今夜は』って、あっちの事だよね?!
『何でもきいてあげる』ってお願いすればど
んなプレイもしてくれるの??
俺の脳裏に、今までやりたかったけど出来な
かった様々なものが浮かんだ……
道具、縄、ソフトSM……
しかし、今はそれらではない!
今しか頼めない、今しかしてもらえないのは
アレしかない!!
「さ、さ、さとしくん。本当に何でもしてく
れるの?」
「おう、男に二言はない」
男らしい言葉♡
それに智君は嘘をつかないから、頼めば必ず
してくれるはずだ。
「……して欲しいことが一つあるんだけど」
思いきって、言ってみる?
櫻井氏のBD用
書きかけ救済(今頃)
やはり変態