お山の妄想のお話です。


新年早々変態。



一富士二鷹三茄子


これは夢に見ると縁起がよいものを順に並べ

たものですね。


富士は〖大きい〗〖高い〗〖不死〗

鷹は〖掴み取る〗、茄子は〖成す〗の意味で

縁起の良い順に並べたという説があります。

(他に駿河の国の名物や徳川家康の好物を並べ

たなど諸説あります)


年の初め、初夢はやはり良いものを見たい…

皆、そう思うでしょう?




翔君


スケジュールを組むのが好きな俺は、年末の

予定もみっちりと組んでみた。


まず大晦日は紅白も格闘技も見ないで早めに

床入り。

さとちゃんとの〖姫納め〗をせっせとしなけ

ればならない♡

そして年を越したら今度は〖姫初め〗で幸せ

な一年を迎えるんだ♡


本当は除夜の鐘に合わせて108回イかせてあ

げたいけど、さとちゃんのミルクタンクはそ

んなに大容量じゃないから無理。

俺だって死ぬ程頑張ってもそんなに出せない

しね。


そこで考えた結果、108回喘がせてあげるこ

とにした。

『あん♡あん♡』言うさとちゃんはとっても

可愛いはずだ。(*≧з≦)


そして元日は2人でゆっくりまったりと過ご

す、ずーっとベットにいてもいいし炬燵で並

んでお笑いを見るのもいいだろう。


元日の夜から二日の朝は〖初夢〗がある。

一富士二鷹三茄子……


できれば一番の富士を見たいな。

俺は一番が好きだ、幼稚園の頃夏休みの日焼

け一番になりたくて無茶苦茶焼いたことがあ

るくらいだから。


でも中々富士山の夢を見ることなんてないだ

ろう。世の中で富士の夢を見た事がある人の

方が稀だと思うし。


富士や鷹やナスの夢でなくてもいい、俺にと

ってモチベーションが上がる良い夢ならそれ

でいいんだ。

それはやはり〖さとちゃん〗。

さとちゃんは俺の愛、俺のすべてなのだから


良い夢を見るためにはどうしたらいいか?

それを調べ実行することにした。

室町時代から〖縁起の良い宝船に乗った七福

神の絵を枕の下に入れて寝るとよい夢が見ら

れる〗と言われているようだ、でも家にはそ

んな絵はない。(さとちゃんに描いてもらえば

いいかもしれないが)


それに良い夢を見るなら、それに関連した物

を枕の下にいれた方がいいだろう。

俺が見たい夢はさとちゃんが出る夢……

さとちゃんが幸せそうにしてくれている夢な

ら非常に吉だ。


だったら、さとちゃんの写真を枕の下に入れ

さとちゃんを抱きしめて眠ればとっても良い

夢が見られるだろう。


そう考えた俺は、以前スマホでハ○撮りした

画像をプリントアウトして枕の下に入れるこ

とにした。


これで今年の初夢は最高に良いものが見られ

るはずだ♡




さとちゃん


おいらが寝ようと布団に入ると、翔くんが神

妙な顔で近くに寄ってきた。


何だろう?何か言いたそう?

そんな顔で来るんだから、おいらに頼み事が

あるのかな?

そう思い『何かして欲しいの?』と訊くと、

翔くんはコクリと頷いた。


お互いベットにいる状況だから、翔くんの頼

み事というのはそっちの事だろうと推測でき

る。

今まで色々な所を舐められたり、変態っぽい

ことをされてきた……

馴れたか?と言われたら、馴れるわけねえだ

ろバカやろ!と言うだろう。


しかし、愛する翔くんのお願いを無下にする

ことも出来ないよ。

取りあえず、翔くんの求めている事を訊くこ

とにした。


「何?おいら何をすればいいの?」

「俺の頼みをきいてくれるの!?」

「え?う、うん。おいらに出来ることなら」

「出来るよ!全然出来るからっ!ありがとう

さとちゃんっ!」


テンションが爆上がりの翔くんに、おいらは

嫌な予感を覚えた。


「あのね、良い初夢を見たいからコレを使い

たいんだ」


そう言って差し出して見せたのはナス。

長ナスと米ナスのふたつ。

長ナスはニョッと長く、米ナスは大型だ。


「初夢?ナスとどういう関係があるの?」

「一富士二鷹三茄子って知ってるでしょ?

富士山や鷹の夢なんて身近じゃないし早々見

れないけど、ナスなら手近だしこれを使って

強烈に印象に残る事をすれば潜在意識が働い

てナスの夢を見れるかもしれないでしょ?」


どうやら翔くんは良い夢を見たいらしい。


「どうして良い夢を見たいの?」

「初夢が良かったら、この一年もさとちゃん

と幸せに暮らせるって思えるじゃない。まあ

見れなくても幸せには暮らすけどね」


『でも出来たら見たい』なんて言うから、つ

い頷いてしまいそうになった。

でも、『ちょっと待て』とそれこそおいらの

潜在意識が待ったをかけ、再び嫌な予感がぶ

り返す。


「……因みに、そのナスどうやって使うの?」

「ん?これの使用方法?それはね、さとちゃ

んの中に入れちゃうの」

「     !!!   」


ニッコリ笑顔の翔くんに戦慄を覚えた……

ナスを……中に?

って、異物挿入ってことじゃないの?!


「い、嫌だよ!」


正月早々そんなマニアックなプレイはお断り

だよ!ていうか、いつでも拒否だよ!


「え~、どうしてさ?米ナスは少し大きいか

もしれないけど、そんなに硬くないよ?」

「米ナスは普通に無理だろ!翔くん正気に戻

ってよ!」

「俺はいつも正気だよ?さとちゃんとの愛の

事しか考えてないし……米ナスが駄目ならこっ

ちの長ナスだけでいいからさ、ね♡」

「ね♡じゃないよ!どっちのナスも絶対に嫌

だからっ!」

「なぜ?気持ち良くするよ?」

「そう言う問題じゃないだろ!」

「じゃあ何が問題なのさ?」


問題は必ず解決するから!と両手にナスを握

った翔くんが力説する。

問題は翔くんの煩悩だらけの頭の中だよ!

おいらは無性に泣きたくなった。


「だって食べ物で遊んじゃ駄目だし、粗末に

してもいけないだろ!」

「ああ、それなら問題ないよ。だって愛の営

みは遊びじゃないし、これだって使った後は

料理して美味しくいただくもの」

「えっ!!食べるつもりなの!!」

「当たり前でしょ、フードロスは世界中の問

題だからね」


ドヤ顔で言われても『それならいいよ』なん

て言えるわけがない、問題は全然解決してな

いんだから。


「いや、駄目だよ!無理無理!嫌だ!」

「そんなこと言わないで。絶体気持ち良くす

るし、料理も俺が頑張って作るから♡」


イケメンが恐ろしい程の微笑で両手にナスを

握って迫ってくる。

それはホラーでしかない…

恐ろしくて、おいらの身体は金縛りにあった

ように動かなかった……






「止めてっ!!!!」


自分の声で目覚めた。

ガバッと起き上がり辺りを見回すと、隣で翔

くんがスヤスヤと眠っている。


おいらは慌てて自身を確認した。

パジャマは着ている、例の場所に痛みも違和

感もない……

翔くんもパジャマを着ているし、情事の後の

ような雰囲気もない……

そして近くにナスが落ちていないかも確かめ

た。


「………ない」


マニアックナスプレイは夢だったみたい…

おいらはホッと安堵の息をついた。




翔君


さとちゃんが起き上がったのか、布団が捲れ

た冷気で覚醒した。


ぼんやりとしながら隣を見ると、さとちゃん

が半身を起こし両手で顔を覆っている。


「……どうしたの?怖い夢でも見た?」


只ならぬ様子にバッチリと目が覚め起き上が

り訊くと、さとちゃんは憔悴した表情で俺を

見た。


「無茶苦茶怖い夢見ちゃった……」

「どんな?俺に話してみて」

「………ナスが」

「えっ?ナス?!初夢がナスなら縁起が良い

んじゃない?」

「全然良くない!凄く怖かったんだから!」


そう言って睨まれた。

茄子は縁起が良いはずなのにな……

初夢、さとちゃんは〖怖い茄子〗の夢か。

俺は……

思い返したけれど、夢を見た記憶がない。

不覚にも夢も見ない程爆睡していたようだ。


「…おかしいな、良い夢を見られるように写

真を置いたのに…」


枕を退け写真を取り出し見ていると、凄い勢

いでそれを取り上げられた。


「…枕の下にこんなもの入れとくから、おい

らが悪夢に苛まれたんだよ!」


さとちゃんは憎々し気に写真を睨むと、ビリ

ビリと破り捨てた。



その後、ベットの下に正座してさとちゃんの

お説教を受けた。

さとちゃんの見た悪夢は完璧にあの写真のせ

いだと断定されたらしい。



悪い夢を見た時は、南天の所に行って夢の内

容を話すと難を転じて良くなるという言い伝

えがある。

悪夢を正夢にしたくなければ人に話せばいい

とも言う。

これは俗信で「話す-離す」からきているのだ

そうだ。


さとちゃんの悪夢も俺に話したら正夢になら

ないんじゃないかな?

でも、どんなに夢の内容を訊いてもさとちゃ

んは貝のように口を閉ざし、夢について語す

事はなかった…




終わり






明けましておめでとうございます。

今年も変態です。


そして元日早々出勤です。