お山の妄想のお話しです。



金曜の放課後、またおいらは生徒会室に来て
いる。
今日もキラキラのイケメン王子を独り占めだ。


何時ものように翔くんの隣に座り、取り留め
の無い話をする。
会話が一段落着いた頃、翔くんがすっと立ち
上がりおいらの手を引いて部屋の奥へと移動
するんだ。
そこはドアから死角になる、外からは見るこ
とが出来ない場所だ。

そこでおいらをギュッと抱きしめると、次に
唇が降りてくる。

はじめはチュッチュッと軽いバードキス、そ
してべろがお口に入ってクチュクチュするカ
クテルキスへとかわっていく。
その頃になるとおいらは気持ちが良くなって
頭がぽ~っとしてくるんだ。
翔くんはキスが上手い…
おいらは翔くんとのキスが大好き♡


ん?前に翔くんをメロメロにするって言って
ただろって?
ああ、あれ。
少し前にやったよ、スゲーのをかましてやった。

流れは翔くんのキスと同じ、バードから始め
てカクテルに進む。
ぶちかましたのはその先だ、舌を絡めた後に
その舌を吸ってやったw
スロートキスっていうやつ。
なんでもディープキスの中でもとても刺激的
で激しいんだって、それをお見舞いしてやっ
たんだ。

ネットで調べただけだから正しいかなんてわ
かんねえけど、とにかくぶっつけ本番でして
みたんだ。
してる最中薄目を開けて翔くんを見たら、頬
っぺたが薔薇色になってて蕩けた顔をしてた。

おいら嬉しくなってもっと激しくしたら、
『ん♡』、『ん♡』なんて可愛い声を出すか
らもっともっと調子こいちゃった。

長~いちゅうを終わらせた時、翔くんは感じ
過ぎたのか力が抜けて膝から崩れ落ちちゃっ
たんだ。
慌てて抱え起こそうとすると、翔くんはその
大きな瞳に涙を湛えておいらをキッと睨んで
きた。
やべえ、やりすぎちゃったみたい。

「ごめんな、やりすぎた」

取りあえず謝ると、翔くんの瞳から雫がぼろ
ぼろ流れ落ちた。
あれ?なんで泣いてんの?
おいらのちゅうが上手すぎて翔くんのプライ
ドを傷つけちまったのか?

どうしよう、とわたわたしていたら、
翔くんはぐいっと腕で涙を拭うとおいらの肩
を凄い力で掴んで叫んだんだ。

「あんたこんなキス誰としてきたんだよ!」

うう?意味がわかんねえ。

「今翔くんとした」
「違うでしょ、他の誰かと何回もしたからこ
んなに凄いキスが出来るんだろ!俺が舌を入
れたのが初めてだと思ってた…あの時のあんた凄く初心だったのに…あれは演技だったの!」
「べろちゅーは翔くんが初めてだぞ」
「嘘だっ、上手すぎる!」
「おいら器用なんだよ」
「器用だからって、あんなに…」

どう言っても信じない翔くんに、おいらはイ
ラッとした。何故信じんのだ!

「おめえ、おいらが信じられねえのか!!」

つい怒鳴っちまった。
そしたら翔くんはおいらの剣幕にビクッて驚
いて『ごめんなさい』って謝ったんだ。
そのしょんぼり顔も可愛くて、おいらすぐに
許しちゃったさ。

その後、スロートキスをネットで調べた事や
本当に翔くんにしたのが初めてだと強く言っ
て聞かせた。
翔くんは何とか納得してくれた、けど。

「お願いだから他の誰ともこんなキスしない
で、するのは俺とだけにして…」

いきなり抱き寄せられて哀願された。
何時もの頼りになる生徒会長じゃない、キラ
キラ自信に溢れた王子さまでもない。
頼りない子供みたいな言い方だった、おいら
は絆されて、うんって頷いた。

「ううん、やっぱり駄目だ。あんなキスは俺
にもしないで……」
「えっ!なんで!気持ち良くなかったんか?」
「逆だよ、凄く気持ち良かった…」
「じゃあ、いいじゃん」
「ダメなの!俺があなたを気持ち良くさせた
いんだから!」
「気持ち良ければどっちでもよくね?」
「いいえ、駄目です。これは俺の沽券に関わ
りますからね!」
「ん?股間?」
「違うの!こけん!まあ、股間でもあながち
間違いじゃないけど、とにかくしないで!」

潤んだ瞳で懇願されて、またまた絆される。

「わかった、しないよ」

おいら翔くんに甘いな~、これが惚れた弱味
ちゅーやつか。
まあ、べろちゅーは自分でやるとしんどいの
がわかったし、またやるのは面倒臭いから
翔くんの要求をのんでやろう。
次にやるとしたら翔くんが『して』って言っ
た時か翔くんを黙らす時だな。


と、言うことで。
今は全面的に翔くんのリードで行っておりや
す。

でもな、この頃ちゅうの最中に翔くんが触っ
てくんだよ。
脇腹をサワサワとかケツをモミモミって…
なんだろ~な、手持ち無沙汰なんか?

他に何か意味が……

!!!!

……もしかして、おいら求められてる?
翔くんはこの先をしたいのか?

て!?そうなったら、おいらどっちなの!?


凸か凹か