お山の妄想のお話しです。
金曜日
とうとう最後の学食の日。
最後何を食べようかな、なんて考えていた。
やっぱりカレー?いや最後は豪華にカツカレ
ーにしようかな………なんてな。
しかし4時限目の授業が押して学食に向かう
時間がだいぶ遅くなったんだ。
もう蕎麦か饂飩くらいしか残ってないだろう
な、なんて思いながらも学食に入るとまだ大
勢の生徒が残っていて驚いた。
あれだ、食後のまったりお喋りタイム。
おいら今まで食べ終わったらすぐに教室に戻
ってたからこんな人が残ってたの知らんかっ
た。
取り敢えず注文を済ませて何時も通り席を探す。ぐる~り見回すとやっぱり見つけてしま
うんだよイケメンを。
食器の片付けられたテーブルで友達と談笑し
ている、やっぱり隣は空席なんだな。
最後だから座ろうかな……
なんてちょこっと思ったけど、昨日の事もあ
るし止めることにした。
少しの間イケメンを眺めてキラキラした笑顔
を目に焼き付ける、これでおしまい。
学食に来なければイケメンに逢うこともない
から勘違いの気持ちがおかしな方向に向かう
事もなくなるだろう。
だけど青春の1ページとして眩しい笑顔を
記憶に残しておきたかったんだ。
だからイケメンスマイルを十分堪能した。
もう満足。
さてと飯を食うか、昼休みももうじき終わる
からな…
すぐ横のテーブルの端っこに空席を見付けて
座りおいらは急いで食事を始めた。
テーブルにいたのは数人の男子でおいらを気
にすることなく大きな声で喋っている。
教師の事や女子の事、話しは盛り上がってい
きそれに比例して声も更にでかくなる。
正直無茶苦茶五月蝿かった、けど。
「悪いけど、席譲ってくれない?」
その、誰かの一言で静かになった。
「 ? 」
誰に言ってんだ?おいらじゃねえよな?
だっておいらまだ食ってるし、と思いながら
食事を続けていると、隣の五月蝿い一団が
そそくさと席を立ち学食から出て行ったんだ。
テーブルにはおいらだけが残っている…
少し寂しい気もしたけど静かになってラッキ
ーだ。昼休みの時間も後わずか、急いで食べ
なくちゃ!
時間を気にしながら一心不乱に食べていると
隣に誰がが座った。
今頃誰だ?しかも他にも席はあるのに何故隣
に座る?
訝しんで隣を見ると、まさかのイケメン王子
がおいらを睨んでいた。
「なんで?!」
驚いて、つい叫んじまった。
おいらの叫びに臆する事無く、イケメンは
じっとりとおいらを睨みながら言った。
「それはこっちのセリフですよ、大野さん」
なんか知らんがお怒りみたいだ。
怒った顔も美形だななんてしばしぽーっと
見惚れてたけど、たはと気付く。
これヤバくね?
やべえ、生徒会長に目えつけられた!
やっぱりメンチか…あれが原因か…
だって他に思い浮かばねえし…
あれは誤解だと言い訳?いや釈明しなきゃ!
「あれは睨んだわけでも、喧嘩売ったわけで
もなくてだな……」
しどろもどろに釈明すると、今度はイケメン
が驚いた顔をした。
「あなた、なんのことを言ってるの?」
その言葉、おいらの方がビックリだよ。
メンチじゃなきゃ、あんたの怒りはなんなん
だよ?!他に理由がわからねえし!!
イケメンの態度が理不尽に思えて、おいらも
ムッときた。
「お前こそ、なんでおいらを睨むんだよ!」
「なんでって、あんたさ!!」
キンコ~ン♪♪
そこで予鈴が鳴った。
おいらまだ食べ終わってない!
イケメン?それどころじゃない、早く食べて
食器を返さなきゃ!
おいらはイケメンを無視して残りの飯をひた
すら食べた。
ケホケホと噎せながらも完食すると、イケメ
ンがおいらのトレーを持って立ち上がる。
「これは俺が返しておきます、大野さんは早
く戻ってください、それから…」
そう言っておいらに小さな紙切れを渡してき
たんだ。
「 なにこれ?!」
「後で見てください、とにかく急いで教室に
戻って。次の授業が始まりますから」
そうだ、おいらのクラスは遠いんだった!
次の授業は厳しい東山先生だ、遅れたら恐ろ
しい何かが待っている…
イケメンはおいらの代わりに食器を片付けて
くれるらしい。ありがたい。
「すまない、助かる!」
ペコリと頭を下げてから、教室に向かい走り
出す。
そのおいらの背中にイケメンからの声がかか
った。
「大野さん!絶対来て下さいよ!」
………あれ?
もしかして、おいら呼び出しくらったんか?
握らされた紙切れを見るのがとても恐ろしく
なってしまった………
また終わらなかったあ
次で終わりたいです。
いや、マジで!