お山の妄想のお話しです。
今日のおいらはとっても幸せ。
バイト2日目にしてもうご褒美が貰えた。
お嬢さん達が今話題のパンケーキ店に行きたい
と言い出して、勿論あおいちゃんの護衛のおいらもご相伴に預かることになった。
お嬢さんが先に店に入り、少しだけ時間を空けておいらは1人で入店。
彼女達は同じテーブルで良いと言ってくれたけど、流石に女の子の中に男(女装)1人はキツい。恋ばななんてされたら、おいらどうしたらいいかわかんないぜ。
窓際の2人席に通されて座る。
店は2階で前の通りが良く見える。
おお、今日もクレープ屋は混んでるな~あそこのクレープも食べてみてえ。サンプルのアップルシナモン生クリームやストロベリークレープが美味そうだったな。
でも今はパンケーキ!!
さあ、どれを注文しようか
目の前にパンケーキ、ふわふわほわほわで生クリームごっそり。
んふふ、見てるだけでしあわせ
食べてみたらどうかな?
ひと口ぱくり。
超うめえ!なにこれ、かーちゃんのホットケーキとは違う~(かあちゃんのもバツグンに美味いけどね)
しかも必要経費だから岡田の奢り!
おいらこんな幸福でいいんかな?なんか罰が当たりそう。
至福のもぐもぐタイムを満喫していると、おいらの後ろの2人席にもお客さんが来たようだ。
「わあ、美味しそう!どれにしよっか?」
「これ可愛い~私これにするぅ」
THE女子高生的な会話。決して盗み聞きしてるんじゃないぞ、声がでかくて聞こえてくんの。
注文を済ませて一息ついたのか、暫しの静寂。
おいらもそこで最後のひと口をぱくり。
大変美味しゅうございました、岡田ごちで~す
さ、次はコーヒーをとカップに手を伸ばした時にまたまた後ろが騒ぎだした。
「あ!あの人今日もいる!」
「え?なに?誰?」
「クレープ店の横に立ってる人いるじゃん、見える?」
「んん?あの男の人?」
「そう!あの人!あの人月曜からずっとあそこにいるの」
「なんで?誰か待ってんのかな?」
「最初見た時は私も誰かと待ち合わせかなって思ったの。でも帰り際にもまだ1人であそこにいてね驚いちゃった、2時間位経ってたし」
「待ち人来たらず的な?」
「かなぁ?で、火曜も水曜もず~と1人でいたのね。それでなんで?って此処等で遊んでる子達がざわついて、とうとう昨日声をかけたらしいのそしたら人を探してるって。名前も知らない女の子をずっとあそこで探してるんだって」
へーずっと待つなんてすげえな、一途な人なんだ。コーヒーを飲みながらついつい聞いてしまう……決して盗み聞きじゃ(略)
「なにそれ~そういうの憧れる~」
「その女の子羨ましいよ、あの人凄くかっこいいし」
「本当だ、超イケメン!」
なぬ?イケメンだと?
イケメン鑑定士(自称)のおいらが見極めてやろうではないか。
たしかクレープ屋の横に立ってるって言ってたな、どれどれと見てみるとそこには人だかりができていた。
「なんか女子に囲まれてない?」
「たぶん逆ナンされてるんじゃないの?
あの人狙ってる子沢山いたもの、何日待っても探し人が来ないなら私と遊びましょう、みたいな」
わさわさ集まる女の子達の中心に制服姿の男子がひとり………
「 えっ! 」
その姿を捉えた瞬間、おいらの体を雷に打たれたような衝撃が走った
………これは罰が当たったの?