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大学生のうちにかいておきたいこと

ホリヒカルです。SFCという藤沢の大学に通っています。卒業までの4年間に起こったコト、考えたコト、悩んだこと、嬉しいこと色々書きたいと思ってます。書くうえで大切にしたいことは「じぶんに素直」です。

外に出ると、予想外の寒さが僕のほおを包んだので開きかけのドアを一旦閉めて、さっき暖房を消したばかりの自分の部屋に戻り、マフラーを首に巻いた。もう季節は冬である。いつのまにか季節は冬色に変わってしまった。毎日向き合っている家族の変化に気づかないように、秋から冬に変わる瞬間も見逃してしまった。

「ついでに!」と後ろからきこえてきたのは母の声だった。毎日、腰痛の体操を欠かさないクミコが僕のためにマスクを差し出した。「予防接種を打ちにいくんだから、万が一のために持ってきなさい。」マフラーにマスクをして、僕は家を出る。自転車に乗っていこうと思ったが姿が見当たらない。どうやら駅前の駐輪場に置いてきてしまったようだ。そういえば、昨日は駅から歩いて自宅に帰ってきたのだった。

匂いには、どれほどの情報がつまっているのだろうか。久々にマスクをして、僕の頭のなかによみがえってきたのは高校受験の思い出だった。無意識下に大切に保管されていた4年前のディテールがひとつひとつ、ぐるぐるぐるぐる巡っている。

当時、僕は東進スクールという塾に通っていた。大学受験で有名な東進ハイスクールの高校受験専用塾の名称である。東京にわずか5校しかないからそれほど知っているひとは多くはないと思う。例年、この塾では、受験生の冬合宿を年末年始に行っていた。12月30日~1月2日のあいだ、総勢100名近くの生徒と講師がテキストとにらめっこしている。もちろん、必勝ハチマキを頭に巻いて。

僕も、4年前に受験生として参加した。マスクが配られたのは2日目の夜のことだった。先生たちが緊急会議に呼び出されて、生徒の1人がインフルエンザに感染していたことがわかった。それからは、生徒全員がマスク着用を義務づけられ、アルコール消毒、体温測定をそれぞれ朝昼夜に行わなければならなかった。

けして良い匂いではないけれど、忘れることはない匂い。例えるなら病院の待合室と毛布のぬくもりとじぶんの吐息がまざったような。

鼻からはいった匂いは、頭に届くと映像化されたのだと思う。視覚では捉えられない、きおくの見方。