座学から始まった攻めの研究の結果は、私が思っていたものとは全然違った。


私は、攻めとはもっと精神的なものと思っていた。よく言われる、気、とか気攻めとかは、目に見えないもので、それが雰囲気のように相手に伝わるのだと思っていたのだ。


私が最初に気づいた攻めは、足攻め、だった。でも、高段者相手だと足攻めだけでは効かない。


竹刀は、バタバタ動かすものではないといつも注意され、いつの間にか、竹刀の攻めはなにもできなくなっていた。


今振り返れば、竹刀を右手で動かしていたから、剣先の動きが大きくなりすぎていたのと、動かす目的がわかっていなかったから、調子をとる動きになっていたのだと思う。


左手主導で、目的をはっきり持って、しのぎを意識すれば、動かすなとは言われないだろう。


実際の稽古で、学んだとおりに攻めてみた。地稽古3回。六段男性二人と、七段男性一人。この方たちとの稽古はいつも分が悪く、打たれることが多かった相手だった。


触刃から一足一刀までは剣先をピリピリと細かく上下に震わせながら近づいていく。ここまでは相手も打ってこなかった。さすがだ。


一足一刀で相手が打ってこなければ、一足一刀から打ち間までは、竹刀でなにかをしなくては。


男性に対しては押さえるのは力負けするから、小手を見せて面に飛ぶ、面を見せて面にいく、軽く押さえて面にいく振りから小手を打つ、しのぎですりこんで小手にいく、下を攻めて面にいく、いろんなことを手当たり次第やってみた。


七段のお相手は、途中から流れを持っていかれた。やっぱり、読みが一枚上手だ。頭を使ってそれを取り返し、また持っていかれ、一本勝負は打たれてしまった。


剣道人生で本当に初めて、剣道で闘った、という気がした。楽しかった。もう、審査も試合もどうでもよくなってしまった。


諦めなくてよかった。右手うちを直してよかった。