先月、キコ・マルチネスが二階級制覇を達成した。
初回からギャラードの左ストレートに足を揺らしながら持ち前の強打で逆転してみせた。
日本では長谷川穂積の天敵として知られる。
さて、ボクシングファンを喜ばすボクサーの特徴に【打たれ弱い強打者】がいる。
キコ・マルチネスは典型的なそのタイプだ。
日本が生んだ【打たれ弱い強打者】の代表格は柴田国明。個人的には日本ボクシング史上、ファイティング原田に次ぐ実績を残したと思う。他に世界王者では平仲明信もそうかもしれない。
他に思い付く打たれ弱い強打者は、日本王者以上だとヨネクラ・イコニ、浅川誠二、高橋ナオト、湯場忠士。皆、魅力的なボクサーだ。倒すか倒されるか、と言うスリルがファンを惹き付ける。
打たれ弱さは弱点に違い無いが、それ故に世界王者になったボクサーもいる。川島郭志だ。自身の欠点を自覚し、それを補うディフェンス技術を徹底的に磨き上げて世界王者になった。アンタッチャブルと呼ばれる前の川島はパンチを溜めて打つ強打者の部類だった。
さて、逆に【打たれ強い軽打者】もいる。
具体例は………たくさん思い付くけど何となく失礼な気がするので日本人の名前を挙げるのは止めておく。
だが、強打の代わりに連打を磨き世界王者になったボクサーも多数いる。
前評判が低いながら番狂わせを起こすのは【打たれ弱い強打者】の一発、そして【打たれ強い軽打者】の止まらない連打だ。
柳明佑は【打たれ強い軽打者】だがソナギと呼ばれた連打で世界王者になってからKOを量産。Jフライ級屈指の名王者になった。
打たれ弱さはディフェンスで補える、軽打は連打で補える。
諦めず戦い二階級制覇を成し遂げたマルチネスは多くのボクサーに勇気を与えたかもしれない。