無敗の価値② | ボクシングライフW

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趣味と言うよりライフワークになっているボクシングについてとりとめもなく感じたままに

前回の続き。


昨年の大晦日、井岡一翔VS田中恒成を観戦に向かう途中、友人から「海外のオッズは田中有利」と聞いて驚いた。


考えるに理由は以下の通りではなかろうか。


①海外の胴元が軽量級をしっかり見ていない


②田中の良い所しか見ていない(つまりダイジェスト)


③田中が無敗である事


実際、2人をよく見ている日本のボクシングファンは井岡有利の声がやや多かった。田中有利の声はどちらかと言えば願望に感じた。やはり田中が無敗である事が目を曇らせた様に思う。


海外に目を移せばかつてパーネル・ウィテカーが良い例。

世界初挑戦で肩を傷めてホセ・ルイス・ラミレスに敗れた。


以降、強豪相手に勝ち続けてもウィテカーはPFP2位。

1位である無敗のチャベスを追い抜けなかった。


その両者が対戦する時、私はウィテカー有利と予想していた。同様のボクシングファンも多数いたが、全体ではチャベス有利の声が多かった。



結果はドロー。
試合内容はウィテカーの完勝。

チャベスは後にフランキー・ランドールに敗れるがウィテカー戦で無敗の神通力は失っていた。

もしウィテカーが無敗なら戦前の予想はチャベス不利だったかもしれない。

さて冒頭に戻る。
もし、井岡戦の前に田中の戦績に黒星が1つ付いていたら田中有利の声は少なかったのではないだろうか?

無敗は観戦者に期待を持たせる。一方、周囲の目を曇らせる。

フレディ・ペンドルトン(負けの多かったIBFライト級王者)やフランシスコ・キロス(10連敗後の翌年か、翌々年にルペ・マデラに勝ってWBAJフライ級王者になった)の様な選手もいる。

無敗に限らず、四団体統一、複数階級制覇といった記録に惑わされず、リングの上のパフォーマンスで選手を評価する。そんな目を養いたい。