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若手と話が通じない原因は
ズバリあなた!
東洋経済オンライン
1月28日(月)13時30分配信
若手と話が通じない原因は、ズバリあなた!
「世代間ギャップ」に悩んでいるという先輩社員の声を、よく耳にするようになりました。たとえば、商社に勤務するDさん(32歳)が若手社員に仕事を頼もうと指示を出したところ、
【詳細画像または表】
「何をおっしゃっているのか、
よくわかりません。
僕は理解力が低いので、
簡単に説明をお願いできますか?」
と、まるで戦いを挑むような返事が返ってきました。
Dさんはかなりカチンときたようですが、ぐっと耐え、丁寧かつ簡単な言葉に置き換えて指示を出したとのこと。2人のコミュニケーションには、かなりのズレがあったのでしょう。
そう、最近の世代間ギャップは、コミュニケーションの面での問題が大きくなっている気がしてなりません。聴いている音楽が違うとか、食が細い気がしたりすると、
「最近の若者は、車離れが激しくて
困るよね~。
もっと、遊び心がないとダメダメ! 」
と、価値観の変化を指摘する人もいますが、そんなことはいつの時代にもあったこと。それより、お互いの対話上のズレの大きさに注目してみてください。さっそく、若手社員の主張に耳を傾けてみましょう。すると……。
「先輩社員の指示が
あいまいでわかりにくい」
「何をしたらいいのかわからない指示に、
戸惑う毎日です」
と、先輩社員の指示自体がダメだと主張する声があふれています。
それはなぜか?
実は若手の言うとおり、先輩社員の指示が、分って当然、分っている者の思想が先にたち、具体的になっていないのです。
※以前、このブログ「ニッポン人! どうして世界(外国)で受け入れられ難いのだろう…? 」の中の【『当たり前』を認識し合う】でも書きましたように外国人社員と話すときと似ていて、
先輩社員の頭の中には、おまえ!何でこんな事を知らないの?知っていて当たり前だろ!
という意識があるからだと思います。
これでは、相手の考えも伝わらないだろうし、自分の考えや思いも正確には伝わらないでしょう。
お互いに苦労と不理解だけが残る事になってしまい問題の解決とはなりません。(by)
ここで、あなたにそのことに気づいていただけるケースを紹介しましょう。たとえば、あなたが若手社員に、
「火の用心をしてほしい」
と言ったとしましょう。
これは、実は指示でも何でもないのです。もちろん、皆さんはこの内容でも、何をいわんとしているか、意味はわかるでしょう。ただ、指示としては相当にわかりにくいと認識しましょう。つまり、火の用心を呼びかけるなら、
「帰社前にはガスの元栓をチェックして、
開いていないか確認してください。
もし、開いていれば閉めてください」
と、具体的にどんな行動をするべきか説明したほうがいいのです。
■ 「きれい」といっても、価値観は人さまざま
同じ理屈で、
「部屋をきれいにしなさい」
という指示もNG。
というのは、「きれいに」の価値観は人によって違うからです。
部屋の隅に綿ボコリがたまっていても、その部下がきれいだと思えば、部屋はきれいなのです。たとえ机に本が山積みにされている状態でも、窓ガラスに濡れ雑巾でふいた跡がスジになって残っていたとしても、その部下にとっては「きれい」な状態なのです。
指示をするなら、より具体的な「状態」を説明しなければいけません。そこで、
「このフロアにゴミが
1つも落ちていない状態にしなさい」
「窓ガラスを指で触ったときに
ホコリがつかないくらいまで、
ふいておきなさい」
「机の上に物が乗っていない状態に
しておきなさい」
といったような、具体的な言い方に変えるといいでしょう。
ただし、一方的に指示をすると相手は嫌がります。なぜなら、今の若手社員は理由や目的がわからないことはやりたくない、という気持ちがすごく強いからです。ですから、何か指示をする際には、「それをする理由は何か? 」ということをきちんと示してあげる。ましてや、
「いいから、俺のやることを見ていろ」
なんて言い方は、もう通用しません。後輩社員が、上司の背中を見て学ぶなんてことは、もはや無理なのです。
そこで、
「個人情報管理の面で、
不用意に資料を置くことは危険。
だから、机の上には何もない状態に」
「アレルギー体質の社員が何人もいて、
ホコリが室内にないほうがいいから、
窓ガラスをふいてくれる? 」
などと噛み砕き、具体的で、納得性の高い指示をしたいものです。
■ 若手に指示する際、ポイントは2つ
以上の話から、職場で若手社員に指示する場合に心得ておきたいポイントは2つあることがわかります。
1つは「説明がより具体的であり、相手が理解して行動に移せるような内容であること」。もう1つは「相手がその指示について前向きに取り組めるよう、目的や理由をきちんと伝えること」です。
たとえば資料作りの指示をするなら、「この資料を明日までに作っておいてね」ではなく、「明後日、●●についての提案を××にするから、明日までに、4ページ、カラーで作っておいてね」と、わかりやすく伝えましょう。
「なんて面倒くさい話だろう!」
と思った方も多いかもしれません。でも、今後ますます、職場でのコミュニケーションではこうしたことが当たり前になると思っておいたほうがいいでしょう。
このように、職場で相手に指示をして、その内容を理解させ、納得させ、成果を出すためには、今まで以上にコミュニケーションでひと手間かける必要があります。間違っても、若手の理解力がないと怒ったり、あきれたりするのでなく、変わりゆく職場の実情を踏まえて、若手とかかわるようにしたいものです。
高城 幸司
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最終更新:1月28日(月)13時30分