何かにつまずいては何かを見つけている気がした。
迷いながら歩いてきた学生時代も、今となっては懐かしく思える。
音楽を続けると決めはしたものの光の見えない世界で暮らす日々は不安だった。
あの頃、誰も口にしなかったが、四人ともがそうだった。
夢を追いかけたいとか、諦めたくないとか言いながらもそれを貫くことは難しい。
でも今ここに来て、頑張って来た自分たちを少しだけ褒めてやりたいと翔平は思っていた。
亜美の心がやっと理解できた。
四人で歩いて行く覚悟をした。
翔平は身体の中で湧き上がるモノを感じていた。
何が欲しくて何を失くして、今自分はここにいるのか。
走り続けることで精一杯だった。
見失ったモノは何だろう。
音楽を続けて生きたいと思っていた頃、自分で自分を励ましながら過ごした時間。
その全てが今の翔平を支えている。
とても大きな力で。
確かに最初から翔平は歌が上手かった。
そして今、自分を少し好きになれたから、温もりが伝わり始めた。
だから、ファンでなくたって翔平たちの音楽に引き寄せられる。
亜美の音楽がそうだったように・・。
そんなバンドになっていた。
歌にのせた思いが広がる。
何かに悩んでいる時、そっと寄り添える音楽。
ここからもう一度歩き始めようと思えるような音楽。
自分たちの音楽が何かを解決出来たらなんて思っているわけではない。
ただ、次の新しい一歩を踏み出す力になれたら幸せだと思っていた。
スポットライトを浴びている時も、誰かを想って涙する時も、素直な自分でいられことの心地よさを知った。
誰にもホントの自分を見せずに生きることがカッコよく生きることだと勝手に思い込んでいた。
信頼できる友が今の自分をどれだけ輝かせている存在なのか知ることも出来た。
あの日、あの店で偶然出会った人・・いつまでも大切な人。