「ゴメンな。
本当にゴメンな。」
「謝らないで、わかっているから。
隼人は誰でもイイ誰かを抱きたかったんだよね。
昨夜たまたま一緒にいたのが私だった。
だから私と・・そうだよね。
そんな顔、似合わないよ。
それに私、嫌じゃなかったから・・。」
「でも、お前・・。」
隼人の言葉を遮るように話し続ける。
「隼人には関係ないけど、私、夕方の便でフランクフルトの行くの。
卒業までに自分のやりたいことが見つからなかったら両親のいるドイツで一緒に暮らす約束になっていたの。
これから先も追いかけていたいモノはあったけど、両親を納得させられるほどのモノじゃないんだ。」
「それって何?」
隼人は沙耶の顔をのぞき込んだ。
「教えてあげない。」
沙耶は笑った。
「いいだろ、別に減るモノでもあるまいし。」
「またいつか、どこかで偶然会うことがあったら、その時話す。」
「どこか行きたい所があったら。一緒に行ってやるぞ。
言ってみろよ。」
隼人のこういうところに何人もの女の子は何かを期待してしまうのだ。
「ここでいい。
隼人、元気でね。」
二度と会うことは無いだろう。
それなのに『サヨナラ』と言えなかった。
心のどこかで期待しているのだろうか、いやそうではない、もう二度と会えないことを認めたくなかっただけだ。
彼に何かを期待したことは一度も無かった。
これまでの付き合いの中でただの一度も。