「亮太、オマエは自分が好きか?


自分を好きにならなきゃダメだ。


誰にも頼らず生きて行けってことじゃなくて、自分一人でも生きて行ける強さを持たなきゃダメだ。


誰かのため・・ってのもイイさ。


でも、やっぱり自分が好きでなきゃそんなの成り立たない。」


将人はその言葉に力を込めた。


そしてゆっくり言葉を選びながら話し始めた。


「僕は、ただ何となくこんなことをしちゃったんだ。


痛みなんてあったのかな~?


今思うと、痛みだったのか恐怖だったのかわからない。


ただ一つ、確かに僕の命は消えた。」


「死ぬってどんなだ?」


「別に、どおってことないさ。


自殺する人間には、単に死にたくなったヤツと、悩んだあげく死ぬことでしか今を変える術を見つけられなかったヤツ。


僕は、特別な理由を持たない方に属する。」


淡々と話す将人の目はどこか淋しげで途中で言葉を発することが出来ない亮太だった。


「聞かせてくれないか?


将人の、オマエの事情を。」


「僕は自分が生きていることの意味を知りたいと思った。


そんなある日、あのビルの屋上に立っていた。


飛び降りることに抵抗は無かった。


だって、夢の中のことだと思っていたから。


夢って目が覚めた時、全部忘れていたり所々曖昧だったりするだろ?


そんなことの無いように、どんな感じだったかを忘れずに覚えていたいと思ったりもしていたんだ。


一瞬の出来事だった。


僕はあっけなく死んだ。


そんな自分を気の毒だとも思わなかった。」


将人が他人事のように話す。


「生きていたかったか?」


「別に・・。


でも、急ぐ必要は無かったかも。


僕だって言えやしないよ。


哀しみに耐えている両親に間違いだった・・なんて。」


そこまで話すと将人は大きく息をした。