「風の谷のナウシカ」は、多くの人が知っているアニメ映画ですが、
この映画の原作となる漫画版の「風の谷のナウシカ」では、
ラストが大きく違っているということは有名です。
そして、この「マンガ版ナウシカ」は、思想史に残る重要な
作品と言われる一方、根強い反対意見もあるようです。
特に、ネット上で検索をすると、ほとんどの人がナウシカに
批判的なコメントをしています。
自分は、最近、やっと「漫画版ナウシカ」を読むことができたのですが、
ラストシーンでのナウシカの行動に共感すると同時に、
「なぜ、ナウシカはあのような行動をとったのか」そして、
「なぜ、ナウシカの行動が理解されないのか」ということについて、
自分の学問的なバックグラウンドを踏まえて、きちんとまとめて
おかないといけないと強く思いました。特に、ネット上の意見が
誤解に満ちたものであったため、そうした誤解を解く必要があると
思ったからです。
最初に強く言っておきたいのですが、原作を読んでいない人は、
この文章を読み進む前に、ぜひ原作を読んでいただきたいと思います
以下の文章は、「ネタバレ」であると同時に、
「読んでないと意味が分からない」書き方をしているため、
このマンガを読んでいない人にとって、百害あって
一利なしの内容だと思うからです。
○「漫画版ナウシカ」のラスト
まず、漫画版ナウシカのラストに関して、ポイントになることを
簡単にまとめたいと思います。
1・腐海の生態系は、実は旧世界の人間が産み出したものだった。
旧世界では、世界が汚染され、そのままでは人間が絶滅する
しかないと思われた。そこで、「世界を浄化するためのプログラム」
の一貫として、遺伝子工学技術を使って、腐海の生物たちが作り
出された。腐海の生物は、長い時間をかけて大地を浄化し、
その後には、(読者である)私たちが生きている世界と同じような、
清浄で豊かな世界が産み出されることになっていた。