山田詠美さんの小説 


『A2Z』  の中に、


バカラの「エキノックス」というグラスが


登場するシーンがあります。


エキノックスとは、秋分・春分を意味し、


ちょうど、その頃に、


昼と夜の分量が同じになる


ことを意味します。


(つまり、今日はエキノックスです)


『あなたと私の気持ちの分量もエキノックスだったらいい』


そんな素敵な台詞がこの本の中には出てきます。


(恋愛で、自分と相手の気持ちの分量が同量って、


まずないと思いますが、そうだったら、どんなに良いかという


言葉を、こんな風にロマンティックに表現できる詠美さんは、


本当に素晴らしいと思います)


「AtoZ」は、


恋愛の「AtoZ」が描かれていて、


そして、また Aに戻る、


そんなお話です。


ちなみに、登場人物の名前も遊び心があり、


主人公は、文芸編集者・夏美なのですが、


夏美の旦那様の浮気相手は、


確か冬子だったと思います。


(春夏秋冬、とくると、


古いところでは、五木寛之さんの四季シリーズ。


新しいところでは、森博嗣さん の四季シリーズを、


思い出しちゃいます。ちなみに両方読みましたが、


森博嗣さん の四季シリーズ すごく好きです。


真賀田四季博士の頭の中を一度のぞいてみたいです)


最後に、山田詠美さんの名言をもうひとつ。


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(山田詠美『セックス』より)


私はセックスには何の興味もないよ。


動物にだって出来るものだものね。


よく、男でさ、自慢そうに、


オレは何人の女とやったなんて言う奴いるじゃん。


私馬鹿かと思うよ。セックスなんて、


いくらやったって、何の自慢にもならないよ。


そんなの食べることや眠ることや排泄することと一緒でしょ。


やっぱりねえ、人間でなければ出来ない


メイクラブをしなくちゃいけないよねえ。


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「メイクラブ」って、文字通り、


「愛を作る」ことなんだと思いました。

詠美さんの表現には、


いつもはっとさせられます。