令和6年7月場所9日目 〜前半戦レビュー | 三代目WEB桟敷

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照ノ富士が2差をつけて全勝。連続休場明け、いよいよ苦しいと言われながらも気づけばサポーターだらけの横綱に誰もついてない。この3年ほど何度も見た光景だ。今場所はお誂え向きに剛腕に捕まりにくる力士は少なく、結構粘られてもいるが、よくついて行って案外危なげない。

 

7日目宇良戦は、今年のベスト5には入る好勝負となった。ケンカ四つ、左を固めて当たった宇良。照ノ富士が左から捕まえようとすると、左へ回って、とったりに出る。肘も悪い横綱は方向転換を強いられたがついていく。捕まえようとすると今度は右へかわし、今度は懐に飛び込むと、素早く離れて肩透かしで回る回る。再び中に入りモロ、照ノ富士が左上手に手を伸ばすと、ワキの間から頭を出し、背筋を使って持ち上げるように寄る。横綱慌てて肩越上手を離し、もう一度捕まえようとすると今度は右から出し投げの連発。崩して頭をつけたが、ここで照ノ富士の右が入る。宇良の左は万歳。それでも粘るものの、もう逃さない。左で抱えてジリジリと出ると、さすがの曲者の万策尽きて、残す腰がなかった。それにしてもよく動きまわり、繰り出す技もいちいち見事だったが、照ノ富士が非常に落ち着いていた。

 

追いかける一番手はやはり琴櫻。初日いきなりつまづき、危ない相撲もあるが持ち前の柔らかさで土俵際追い詰められてからもうワンチャンスあり、逆転勝ちを収めている。他に2敗は美ノ海。動きの良さが光っている。

豊昇龍は3敗を喫してしまい崖っぷち。星どりが苦しくなり立ち合いの注文を見せ始めるのもいつも通り。

 

角番貴景勝は黒星先行が続いている。一時2勝5敗と追い込まれたが何とか連勝。それでもまだ1つ負け越しており、他の上位がそこそこの調子の中、苦しい終盤戦が予想される。

 

その貴景勝に敗れた霧島は、3連勝スタートを切ったが一時5分に戻った。大関復帰へ、横綱戦も残すがあと1つしか負けられない。その霧島含め、3関脇2小結は揃って5勝4敗。優勝候補と目された大の里がまさかの連敗スタート。やはり出足のある相手が苦手で序盤躓き、4連勝と持ち直したがまた豪ノ山を呼び込んで完敗。あるいはと期待された場所後の大関取りは消滅。何とか二桁勝って来場所に繋げたい。

 

復活を目指す再入幕若隆景は6勝3敗とまずまず。

全休明け朝乃山は鮮やかな緑の締め込みに変えて、心機一転好スタート。ところが、初黒星を喫した4日目の一山本戦で、左膝が内に入ったまま押し倒されて重傷。手術が必要と見られ、ふたたび幕下以下への転落は免れない。ここからもう一度再起するには、相当の精神力が必要だろう。筆者としては、不条理にも耐えて今までよく頑張ったと声をかけてしまいそうだ。