昭和以降最年長優勝者の誕生、またも楽日決戦まで戦いながら賜杯を逃した悲運の力士、小兵の躍動、新顔の活躍など見どころは多かった。
しかし、まあ何というか、上位陣どころか役力士が全く優勝争いに絡めない、締まりのなさという意味では史上最低の場所となった。平幕優勝にしても、少なくとも最終盤までは誰かしら横綱大関が追いすがっていたはずだが、それすらない。
特にカド番を繰り返す正代が9連敗、在位4場所中1場所しか勝ち越せず陥落の御嶽海と、揃って4勝11敗の2大関は、なぜ最後まで出場していたのか、疑問しかない。
1横綱3大関総なめした玉鷲の優勝は圧巻。
遅い全盛期をやや過ぎた34歳で初優勝、やや下降線をたどりながらまだ上位に踏ん張っているなと思いきや、勢いに乗って2回目の優勝まで。旭天鵬の年長優勝は不滅と思われたが、まさに驚嘆。
その玉鷲を破ったのは関脇若隆景と若元春の兄弟。共に二桁勝利。
若隆景は例によって立ち上がりが悪く3連敗だったが、これさえ克服すれば優勝候補に挙がる実力を見せつけた。若元春も三賞がないのが気の毒なくらい。千秋楽も御嶽海を一方的に破った。
注目の3関脇3小結だったが、ディフェンディングチャンピオンの逸ノ城があっけなく負け越し。それぞれ持ち味を出しながらも、つぶしあいで波に乗れなかった。豊昇龍、霧馬山もなかなか星が上がらなかったが、それでもしっかり勝越してくる地力はさすが。
10枚アップの前頭筆頭が決して家賃が高くなかった翠富士、入幕から2場所連続二桁の錦富士。三賞を逃したものの目立った若手は多かった。5連勝スタートの王鵬は給金相撲での連敗グセを露呈。琴勝峰もなかなか突き抜けない。琴ノ若は8番に留まってまた三役はお預け。毎場所結果を残しながら、異常な幕内上位の過密で動けない。そろそろブレイク、大勝ちとなるか。