昭和45年春場所概要 | 三代目WEB桟敷

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トピックス

北玉新横綱場所

3横綱激戦

優勝

大鵬

31回目

横綱

14勝1敗

本割

三賞

殊勲 前乃山(2)

敢闘 陸奥嵐(3)

技能 錦洋(初)

記録

大鵬史上最多優勝回数を更新

歴史的観点

大鵬が意地見せ、北玉時代に待った。3強時代か

大関レースは停滞。4関脇とも二桁届かず

見どころ・名物

武蔵川理事長の見事な協会挨拶 万博にも負けず

夏みかん庄之助時代、抜擢制度の悲哀

4関脇の競り合い

貴ノ花の上位初挑戦

ピラニア旭國の長い相撲

豪快 暴れん坊陸奥嵐

京の名勝対決? 嵐山対大文字

腰高アンコ朝登悶絶 腹巻きテープ

大雪、勝ち名乗り..が受けられない!?

新入幕 2代目増位山

上段ガラガラの府立体育館

この場所の成果

 注目の北の富士玉の海の両新横綱、そして復帰した大横綱大鵬による三つ巴の争いは、期待以上のハイレベルとなり、直接対決以外で三横綱の喫した黒星はわずか2つ。終わってみれば本割で大鵬の復活優勝となり、「不死鳥」ぶりを見せつけて、北玉時代到来の声をピシャリと跳ね除けた。苦戦することの多い新横綱場所で13勝の北玉も重責を果たした。柏鵬が昇進した頃の若乃花、朝潮は年齢的にも後退期で間もなくその座を譲ったが、大鵬の古傷の具合にもよるが、まだ20代。しばらく鼎立の時代が続くことも考えられる。

 北玉と昇進レースを演じていた2大関は、ますます差をつけられてしまった。清國は前半戦こそ1敗に名を連ねていたが、先場所以上の失速。まさかの7連敗で負け越した。琴櫻は清國を倒して2敗で横綱戦に挑んだが、3連敗。二桁に乗せるに留まった。

 初場所活躍の栃東が加わって4関脇となったが、大関レースも盛り上がらず。栃東と長谷川は負け越し、麒麟児前乃山も二桁に届かなかった。長谷川は大鵬に、前乃山は北の富士に土をつけたが、実力伯仲で星の潰し合いを抜け出せない。小結の高見山は4勝止まり、龍虎は1大関3関脇破り勝越した。一時は大関に迫りながら連続一桁に終わった麒麟児は、翌場所から大麒麟と改めてギアを入れ直そうとするが、先に覚醒したのは...

 平幕上位では、若手の黒姫山貴ノ花はじめ大敗が目立った。場所通じて金星も発生せず、寂しい結果に。上位陣との対戦は組まれなかったが、西4枚目の陸奥嵐が11勝で敢闘賞。派手な吊りなど技能賞はやれないが大いに盛り上げた。東4枚目の20歳錦洋も終盤までは同じ星取りで、こちらは横綱、大関戦が組まれて9勝止まりだったが、しっかり活躍が認められて初の三賞となる技能賞。あとは6連勝スタートで10勝の時葉山。活躍と言えるのはそれくらいか。新入幕の増位山は、千秋楽三重ノ海に8敗目をつけられて、惜しくも転落。

 十両からは、前の場所に続いて好成績を残した大受、和晃らが入幕を果たした。大受の押し相撲はすでに全盛期と遜色ない完成度。筆頭で14勝1敗として、いきなり幕内中位に陣取りそうだ。なお、幕内最年長の30歳・十文字が転落。翌場所大鵬と大雄が30歳となるが、非常に若いというか力士寿命の短い時代である。

 琉王ら5人の新十両は全て勝ち越すなど下位が負け越さず、陥落は1人だけ。筆頭で4勝の磐石、5枚目5勝の花錦(のち魁傑)は幕下筆頭に留め置かれ、その1枠を手中にしたのが、付出デビューから初の連続優勝を果たした輪島である。