令和4年初場所最終盤展望 優勝争い、取組編成、三賞候補など | 三代目WEB桟敷

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気まぐれに現代に戻ってきた。

 

逃げる御嶽海に照ノ富士が追いつき、追い越したかに思われた12日目は、まさかのお付き合いで両者2敗で13日目。

 

正念場となった御嶽海。元々好調時もすぐ乱調して連敗する癖があり、今場所は連敗しなかったとはいえ絶不調の正代相手で、案の定すぐ2敗目を喫した。このタイミングで相対するは、首位タイに浮上した阿炎だ。

先場所、再入幕で照ノ富士との直接対決まで持ち込んで善戦、今場所も好内容で勝ち星を重ね、今最も乗っている幕内力士の挑戦を受ける。

 

これは苦しいかと思われたが、意外にも相手の猛烈な突きを嫌がらず、しっかりと下から押し上げる冷静な相撲。苦しくなった相手の引き技にも動じず、付け入って快勝した。今度も連敗せず、11勝目。

 

照ノ富士も譲らず。前日土俵下まで突っ込んで古傷の膝を気にしているような素振りを見せたが、この日は隆の勝の右差しを抱えると、そのまま手繰って横向きで土俵の外へ。足の調子は測れなかった。

 

再び首位並走となって残り2日。

14日目の割は、審判部の真っ当な采配と言える。

 

番付順なら照ノ富士と御嶽海が激突するところ、照ノ富士に挑むのは前頭6枚目阿炎。御嶽海戦は千秋楽に延びた。大関正代戦は2場所連続で消滅。案の定負け越したので正解。

御嶽海には、9勝4敗の7枚目宝富士が当てられた。ベテランの宝富士は好成績ながら中位で目立つ機会がなかったが、勝って優勝争いを動かして二桁なら、三賞受賞に向けての決め手になる。これもいい割だ。

気がつけば1差につけている14枚目の琴ノ若は、関脇隆の勝戦が組まれた。連勝して関脇を守りたい実力者、突破は容易ではないが、13日目玉鷲の足が僅かに出ていて思いがけず軍配を受けたように、勝ち運もついている。勢いが勝れば優勝圏内で千秋楽を迎えることもあり得る。その場合は誰と顔が合うだろうか。

 

この日の割は評価できるが、やはり2人しかいない横綱大関が対決しないのは異常。

今場所の照ノ富士の相手は、初日小結で2日目以降、前頭筆頭から5枚目までの判で押したように順番に当てている。たった1枚圏外の6枚目で勝ち進む阿炎を、どうして首位に並ぶまで当てようとしなかったのかは疑問が残る。先場所最後の最後まで当てなかったのは番付や想定以上の活躍ということで仕方ないとしても、同じく大関正代戦が組まれない事態を繰り返した。

 

前回紹介した昭和59年秋の小錦も同じ6枚目で2敗で終盤を迎えた。しかも3横綱4大関の時代なので、今場所より実質的に下の番付。それでも11日目には横綱戦が組まれている。さすがに終盤戦に入ったあたりで平幕力士の対戦圏内ボーダーラインの入れ替えくらいはしてほしい。

それをしないおかげで優勝争いが盛り上がっているのだと言われたら、上位陣の層の薄さに責任を転嫁せざるを得ない。

 

閑話休題。

 

残り2日の見どころは多い。

  • 14日目、共に勝って横綱と関脇の一騎打ちか
  • 14日目、片方でも負ければ3敗力士にも可能性
  • 照ノ富士、栃木山以来の新横綱から3連覇か
  • 御嶽海、3敗までなら大関昇進もあるか
  • 三賞候補は、成績なら御嶽海、阿炎、琴ノ若、技の光る石浦、豊昇龍、殊勲星の玉鷲、阿武咲
  • 三役の空きは2以上。宇良、新三役なるか