昭和39年夏場所序盤戦 @アーカイブ場所 31連勝中の大鵬は | 三代目WEB桟敷

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大鵬の連勝ストップ

 初場所から連続全勝とギアを上げてきた大鵬だが、4日目に前田川の引き落としに不覚。自己最高記録は34連勝でストップ。この時点で戦後の最長記録である。この場所の大鵬は、序盤その1敗で乗り切ったものの、2日目若見山、5日目清國にも一瞬ながら両差しを許すなどややスキが見られ、不調の様子。

 

上位は上々

 7人の横綱大関は全員出場。豊山が連敗を喫して2敗したものの、柏戸、北葉山、佐田の山が無傷、大鵬、栃ノ海、栃光が1敗。5日目は上位安泰で序盤を終えた。まずまず揃ったスタートと言えよう。

 柏戸はらしい出足を披露して好調を維持。栃ノ海は伏兵沢光に引き落とされて土がついた。その他も目まぐるしい相撲なので危ない場面も目につくが、連敗スタートの場所に比べれば天国である。

 大関で出来の良いのが北葉山。小兵だがケレンに頼らず、左四つの型の充実が光る。先場所屈した関脇大豪の小手投げにも、しっかり修正して打たせない形を作った。佐田の山は、力強い突っ張り、吊りを見せて取りこぼしなし。栃光は危ない場面もあるが、よく粘っている印象。豊山はいつもながら大味な相撲が目立った。

 

三役力士は苦戦

 そろそろ大関取りが期待される関脇大豪だが、ワキの甘さを露呈して2日目から大関戦も含め4連敗。新関脇開隆山は栃光を破った必殺上手捻りの威力を見せつけ、白星先行。豊山と堂々渡り合う健闘もあった。

 新三役となる両小結は、現代のように連日上位戦というわけでもないが、黒星先行。廣川は柏戸、栃ノ海を押し込む場面はあったが一瞬で、若見山は大鵬に両差しを果たしたがこれも一瞬。鶴ヶ嶺を腕ひねりに破る器用さを見せたが、北の冨士、富士錦に一方的に持っていかれるなど内容は良くない。

健闘力士

 金星獲得の2番はいずれも引き技。前田川は鋭い当たりが思いのほか大鵬に響いて鋭く退いて引き落としが決まったが、それ以外は相手のペースで1勝のみ。沢光は2大関にも食いついて健闘、栃ノ海戦は鋭い出足に後退しながら引き足速く落とし穴に嵌めた。

 前頭5枚目の北の冨士が豊山を外掛けに切って取り、北葉山に敗れた1敗のみと元気だ。平幕唯一の全勝は若秩父。思うように左四つになれており、2年ぶりの前頭二桁なら当然という地力である。