朝青龍の復活劇で幕を開けた平成21年。
今後の勢力図を占う上で、非常に大きな意味を持つ場所となった。
今場所を迎えるまでの勢力図だが、20年の後半3場所が好対照だった。
前年4度の優勝を果たし、3連覇中だった白鵬が他を圧倒。
他の2場所、初場所覇者の朝青龍と夏場所覇者・大関琴欧洲。しかし、朝青龍は3場所連続休場中で引退危機。琴欧洲は3場所とも一ケタ勝利で勝ち越しに汲々とする状況に逆戻り。まったく期待できる状況ではなかった。
代わって白鵬の対抗馬にのし上がったのは、関脇に定着していた安馬改め日馬富士。20年前半は10勝に届かなかったが、この3場所で大ブレイク。10・12・13勝と重ねて大関昇進。九州では本割で白鵬を下して優勝決定戦に持ち込み、2番手としての地位を固めた。
続く勢力では、ベテラン大関陣は勢いを失っており、優勝争いどころではなかった。日馬富士に先を越された若手大関候補もそのきっかけを掴めずじまいで伸び悩む。彼らよりも新三役を果たした把瑠都や豪栄道に覚醒の可能性が感じられる。
初場所、一定の成績を残すだろうと予想された白鵬は当然として、対抗する力士に注目が集まる。
特に優勝22回の朝青龍は、偉大な実績と奔放な振る舞いが災いし、序盤で躓けば引退勧告も、という窮地。どちらかといえば、ネガティブな結果を期待する報道陣が過熱、いつも以上の盛り上がりを見せた。もう見納めかという視線を浴びながら初日の土俵に立った横綱は、前半戦、全盛期とは程遠い危なっかしい内容も多かったが、着々と白星を重ねていく。対照的に、目下実力No.2と言える新大関は、まさかの●●●●スタート。なんと新大関のワースト記録。相手に当たり勝ちながらも力が入っているのか、リズムが崩れて泥沼にはまった。後半は朝青龍以外の上位陣を破って勝ち越しただけに、残念な躓き。
前半は他の力士も活躍。琴欧洲は優勝した場所を彷彿とさせる大きな相撲で安定感もあり、期待を持たせた。大きいといえば、把瑠都も6連勝のスタートで、大関候補一番手と呼べる実力を披露した。だが、この2人も後半の上位戦では振るわずに脱落する。
平幕では栃煌山が8連勝、三賞を受賞した豪栄道と豊真将も故障を克服し地力発揮。
終盤は両横綱のデッドヒート。尻上がりに調子を上げる朝青龍の戦いぶりは、かつての姿そのもの。白鵬は苦手日馬富士に不覚を取るが、そのほかは安定した取り口。まさに横綱の相撲で、把瑠都との右四つがっぷりの攻防、見事に決まった左上手投げは芸術の域。大関陣も相手とせず。そして迎えた千秋楽。2番とも残念ながら熱戦にはならなかったが、決定戦を制した朝青龍が5場所ぶりの優勝。白鵬は14勝しながら初の4連覇を逃した。盛りを過ぎた横綱は、新進気鋭の横綱の前には脆いものだが、まだまだしぶといところを見せた。
白鵬の戦いぶりから、黄金時代の予感は感じられるが、これに待ったをかける大横綱が健在。期待されながら一瞬にして通り過ぎようとしていた二強時代が再び来るのか、それともこの復活は最後のひと花なのか。
いずれにしても、3・4番手として優勝争いの常連となる力士が待望される。その候補が日馬富士であり、琴欧洲であり、関脇の把瑠都であるというのが、今場所を見ての感想。和製大関が待望されるが、今場所は上位では豪栄道を除きそろって討ち死状態だった。
春場所は朝青龍の真価、大関の復調、三役以下期待の力士のだれが爆発するのか、注目ポイントは多い。