組織には、進むべき方向を示すトップが必要です。

しかし、その理想がどれほど素晴らしいものであっても、それを具体的な行動に変えて結果を出せる実務のリーダーがいなければ、理念はただの言葉で終わってしまいます。

通信販売の枠を超え、環境保護や社会支援の分野でも世界的な信頼を集める
山田養蜂場

この組織の躍進を影で支えてきたのは、社長の右腕として現場を走り抜けてきた専務たちの存在でした。

本記事では、現在は代表取締役副社長を務める
新名義明(しんみょう よしあき)氏に焦点を当てます。
 

彼が専務取締役という立場で現場の指揮を執っていた2016年。

国内の震災支援から海外での植樹活動まで、彼がどのように専務として振る舞い、会社の目標を現実のものにしていったのか。

当時のプレスリリースに残された確かな足跡から、組織を動かす実行力の真髄を探ります!

 

 


【国内支援】熊本地震で見せた、専務の「動く速さ」


震災発生からわずか1ヶ月強。支援を「形」にした専務の決断


 

2016年4月、九州地方を襲った熊本地震。
未曾有の災害を前に、多くの企業が支援のあり方を模索する中、岡山県鏡野町に本拠を置く山田養蜂場の動きは極めて迅速でした。

同年5月27日、岡山市内にある国際医療ボランティア組織「AMDA(アムダ)」本部。
支援金を届ける寄贈式の場には、当時専務を務めていた新名氏の姿がありました。

ここで特筆すべきは、寄付された100万円の背景です。
当時の記録によれば、この支援金は株式会社山田養蜂場、株式会社ナチュラルガーデン、株式会社サプリメントジャパンの従業員からの募金と、会社からの拠出金を合わせたものでした。

新名氏は、単に会社の予算を動かすだけでなく、グループ3社の社員一人ひとりの「力になりたい」という善意を一つにまとめ上げ、具体的な形にしたのです。
専務として社員の士気を高め、企業理念を全従業員が共有するアクションへと導く。この数字の裏には、彼が築き上げてきた「血の通った組織運営」の姿が表れています。

さらに、実行力が際立ったのは物資支援の内容です。
現場のニーズを細かく汲み取り、自社製品のシャンプーとコンディショナー1,000セットを即座に送付。

単なる金銭支援に留まらず、「今、何が本当に求められているか」を現場レベルで判断する。

この現場に近い視点と判断の速さこそが、実務責任者である専務の真骨頂と言えるでしょう。

 

【海外貢献】ネパールの世界遺産で流した、専務の「汗」

 

国内支援のわずか2ヶ月後。ネパールの「現場」にいた専務

画像:山田養蜂場

 

2016年5月に熊本への支援を形にしたばかりの新名義明氏ですが、そのわずか2ヶ月後の7月23日、彼は日本から遠く離れたネパールにいました。

場所は、世界遺産にも登録されているカトマンズ盆地のチャングナラヤン寺院。

ここで開催された2,000本の植樹セレモニーの出席者名簿に、再び「専務取締役 新名義明」の名前が刻まれています。

ここで注目すべきは、この場に並んだ顔ぶれです。

ネパール森林省や日本大使館、現地の国立公園の代表者といった、政府関係者が一堂に会する公的なセレモニーでした。

 

こうした国際的な調整が必要な場に、山田養蜂場の実務トップである専務が自ら足を運んでいる点に、このプロジェクトに対する同社の本気度が表れています。

 

「環境への責任」を数字だけで終わらせない実務

この植樹活動には、山田養蜂場ならではの明確な理屈がありました。

 

通信販売というビジネスモデル上、どうしても避けられないのが

カタログなどの“紙”の消費です。

当時のプレスリリースには、次のような具体的な数字が記されています。

社内で使用している紙の量を計算したところ、概算で年間1,500本(の樹木)におよぶことが分かりました

引用:山田養蜂場プレスリリース

 

“使った分以上の木を植えて地球に返す”という、通販企業としての責任。

これを単に寄付金で済ませるのではなく、専務自らが現地へ赴き、政府関係者と肩を並べて2,000本の苗木を植える…!

さらに興味深いのは、現地の生態系に合わせた複数の広葉樹を選定するなど、非常に手間のかかる手法を採用している点です。

こうした手間のかかる実務を完遂させることこそが、社長の掲げた理想を国際的なプロジェクトとして成功させる、専務の実行力だったと言えます。

 

こだわり:ただ植えるだけではない、専務が貫いた「本物の森」づくり



宮脇式植樹が証明する、専務の「妥協なき実務」

先ほど述べた“手間のかかる植樹”というのが、世界的な植物生態学者である宮脇昭氏が提唱した「宮脇式植樹」の実践でした。

当時のプレスリリースを詳しく見ると、植えられた樹種の名前が具体的に並んでいます。
「インディカシイ」「アラカシ」「インドネズミモチ」「ミケリア・チャンパカ」など、これらはすべて、その土地に元来自生していた“広葉樹”です。

 

20年で「本物の森」へ。専務が手間を惜しまない選択をした理由

多くの植林活動では、成長が早く管理が楽な針葉樹を植えがちですが、宮脇式では「その土地本来の姿」に徹底してこだわります。

複数の樹種をあえて混ぜて植えることで、植物同士が競争し、励まし合いながら、わずか20〜30年で豊かな「本物の森」へと成長する手法です。


この手法は、苗木を育てる段階から膨大な手間とコストがかかります。

実務の責任者である専務という立場からすれば、もっと効率的な選択肢もあったはずです。

しかし、新名氏は中途半端な緑化ではなく、数十年後もしっかりと根を張る森を作るという方針を貫きました。

 

まとめ:山田養蜂場の専務が示した企業のあり方

 


組織を動かし、理想を形にする「専務」という役割

ここまで、山田養蜂場の元専務・新名義明氏(現・代表取締役副社長)が主導した、熊本地震支援やネパールでの植樹活動を見てきました。

これらすべての活動に共通しているのは、単なる企業の社会貢献という枠を超えた、実務責任者としての徹底したこだわりです。

従業員からの募金をまとめ上げて迅速に届け、世界遺産の地で自ら汗を流して「本物の森」を育てる。
その姿は、トップの掲げる理想を具現化し、組織を実際に動かす専務というポジションの重要性を物語っています。
 

現場主義が築いた、揺るぎない信頼

当時の新名専務が示したのは、数字や言葉だけでなく、実際に現場に足を運び、現地のニーズや生態系にまで配慮する実直な姿勢でした。

この妥協なき実務の積み重ねこそが、山田養蜂場という組織の信頼を支え、専務としての確固たる地位を築いた要因と言えるでしょう。

リーダーシップとは、単に指示を出すことではなく、自らも行動し、関わるすべての人々の想いを形にすること。

 

新名氏が専務という大役を経て、現在は副社長としてさらなる重責を担っているという事実は、彼が歩んだ現場主義の軌跡が、いかに組織にとって不可欠なものであったかを証明しています。