7場所ぶりに幕内に復帰した阿炎(あび、27歳=西前頭15枚目)が、初日から目の覚めるような相撲を展開しています。
5日目も天空海(アクア)相手に、思いきり踏み込んでもろ手突き、休まず踏み込んで一気に押しだしました。
スピード感あふれる突っ張り、息つく間も与えない鋭い動きは見ごたえがあります。このままいけば幕内下位ながら、面白い存在になってきそうです。
新入幕(2018年1月)のときから、変化あり、引き技ありで、「力はあるが、バタバタした相撲」などと評されてきました。それでも同年5月場所には横綱白鵬を、7月場所にも付け人も務めたことがある横綱鶴竜を破っています。
2019年は年間全6場所すべてで勝ち越し。幕内でただ一人の快挙で、確実に力をつけてきました。
一方で、やんちゃ坊主丸出しの行動が続きました。仲間の力士の口や手足をガムテープで縛りつけた動画を公表したり、不適切なスマホの使い方(SNS)についての講習会の後、「寝ていたので何も聞いていない」ととぼけたり。
それでも成人?幕内力士?か、と頭をかしげる言動が続きました。
きわめつきは、昨年、コロナ感染の拡大で、協会と全力士が対策に取り組んでいるさなかの深夜のキャバクラ通い。事情聴取されると、虚偽の報告で切り抜けようとしたり、「引退するよ」と居直りました。
相撲界だけでなく、国民の命が危険にさらされているとき、阿炎の行動は破廉恥極まりないものでした。3場所出場停止処分でさえ軽いと感じました。
ただ、どんな人間でも、間違った行動や過ちはあります。そこから這い上がって、もう一度新たな道を歩み始めることができるのも、若者の特権です。
阿炎は今年の3月場所、出場停止処分が解けて、幕下で全勝優勝したとき、「相撲をとれる喜び、そういうものを学ばせてもらった」と話しました。
過ちを肝に銘じ、新たな成長への一歩を踏み出すか。ファンは見つめています。
相撲で勝ちさえすれば、すべて帳消しになるわけではありません。