どこの世界にも主役として注目される人がいる一方で、なかなかそうなり切れない脇役、端役の人がいます。いや、主役になり切れない人のほうが圧倒的に多い。
相撲界の主役は、やはり横綱、大関、さらに勢いある伸び盛りの若手力士です。
東前頭筆頭の北勝富士(ほくとふじ=31歳、埼玉県出身)。先場所、幕内で優勝争いに加わったとはいえ、どちらかといえば脇役、地味な存在でした。
ところがその北勝富士が、横綱不在の今場所、初日から3大関を破る活躍。4日目は大関候補の大栄翔の突き押しに敗れたものの、一気に序盤の主役に躍り出てきました。
場所前の予想では、主役は新大関の豊昇龍はじめ新関脇の琴ノ若らで、北勝富士を優勝候補にあげた人は、相撲専門誌を含めてほとんどいませんでした。
その、あまり注目もされなかった地味な力士が、いきなり主役級の活躍です
でも、根っからの脇役というわけではありません。
高校時代には高校横綱のタイトルを獲得。大学時代には全国学生相撲選手権で個人優勝も成し遂げるなど何度も〝主役級〟の活躍をしています。
大相撲界に入門すると、前相撲から所要10場所というスピード出世記録もつくってきました。
最高位は東小結(2019年、同20年)。実力派ですが、けがなどもあり、前頭の上、中位あたりををうろうろ。脇役力士という印象を持つ人が多いのも確かです。
今場所の活躍の背景に何があったのか。詳しくはわかりません。ただ、取り口を見ると、引きこんで墓穴を掘るという悪い相撲が減りました。バタバタせず、落ち着いた、力強い相撲が目立ちます。
誰もが、熱心な稽古の成果がようやく花開いてきたと指摘します。
上位に強くても下位力士に取りこぼしてしまう弱点。激しいぶつかり稽古のせいか。髪の毛も少なくなってきました。
が、力士としては最も力が出ると言われる31歳。目の離せない存在です。
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