この場所で最も注目されているのは、大関貴景勝の横綱なるか、です。
初日の対戦相手は、小結に返り咲いた翔猿(とびざる)。直近の2場所は翔猿の機敏な動きに屈しています。
今場所の貴景勝の調子を占ううえでも、格好の一番。
立ち合い、貴景勝がガツンと低くあたる。押し込まれながらも翔猿は左右からいなしてはたき。次の瞬間、大関はばったりと手つき。
勝ちを意識し過ぎたのか、機敏な動きについていけませんでした。
横綱照ノ富士が今場所も休場し、大関以上の力士は貴景勝ただ一人
横綱になって、何としてもその責任を果たしたいという決意はかなりなもので、稽古や準備を相当積み上げてきたようです。
持ち味の押し相撲に加えて、相手有利の体勢をつくらせながら反撃していく稽古にも、力を入れてきたそうです。
しかし九州場所は優勝決定戦で敗れ、三度目の優勝を飾った初場所も下位力士に3敗するなど、横綱への道は並大抵なことではありません。
2日目以降も、史上最強ではないかとも言われる強力な関脇、小結戦が控えています。
それだけに、カギは、まだ1敗だ、と切り替えられるかどうかです。
貴景勝の発言で、少し気になることがあります。
今後について、現役で相撲がとれる時間はそう長くないと、ときおりほのめかすことです。
場所前にも「あと現役が何年かわからないですけど、後悔しない相撲人生を送りたい」(雑誌『大相撲』3月号)と、相撲に詳しいデーモン閣下のインタビューに語っています。
妙に冷静で達観した印象です。
しかしまだ26歳。もっとがむしゃらさがあっていいんじゃないですか。
たびたびそうした話を持ち出すところを見ると、首など体の状態はかなり厳しいのかなと、推測してしまいます。
かつての師匠であった横綱貴乃花は、横綱昇進後はけがに苦しみ、休場が続いて引退に追い込まれました。
横綱稀勢の里(現二所ノ関親方)も、昇進後は出ては休場といった場所が続き、横綱は在位12場所にとどまりました。
ファンが期待するのは、横綱がその最高位にふさわしい相撲を見せてくれるかどうかです。
昇進することにすべてのエネルギーを使い果たして、あとは抜け殻のような相撲ばかりでは、悲しすぎます。
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