大相撲3月春場所がいよいよ12日に初日を迎えます。
考えてみると、相撲界もこの数年の間に、大きく様変わりしています。時間のたつのが、実に早い。
新型コロナ感染が急速に広がりはじめた2021年大阪場所は、無観客での開催でした。
大関は貴景勝ただ一人だったため、番付で西横綱の鶴竜に「横綱大関」と書き込まれました。
1909年(明治42年)まで、横綱は単なる称号であって大関が力士の最高位でした。そのため、大関を番付から欠いてはならないということで、横綱は大関も兼ねるとされたんだそうです。
横綱が最高位となった現在でも、横綱照ノ富士には「横綱大関」と書かれ、大関は東西にいることになっています。独特の決まり事とはいえ、面白いものですね。
この場所は、関脇の照ノ富士が3度目の優勝を遂げ、翌5月場所に大関復帰、同年9月場所には新横綱昇進を果たしました。今考えても、実に歴史的な復活劇でした。
その横綱がいま、膝の故障で苦しんでいます。春場所に出場するかどうかも、まだ明らかにしておらず、引退さえ取りざたされています
昨年の22年春場所には、前場所優勝を遂げた御嶽海が新大関に駆け上がりました。しかしその期待にこたえられず、わずか四場所で大関を陥落。優勝したのは、体の小さな、筋肉質の関脇・若隆景でした。
兄の若元春とともに、東日本大震災で苦労し、苦しむ福島の人たちを勇気づけました。
こうしてみると、わずか3年のあいだに、相撲界にもさまざまなことがあり、誰もが同じところにとどまることなく進化したり、変化しているんですね。
一人ひとりの力士が、相撲界に歴史を刻んでいるんだなと実感します。
今年の春場所は、大関貴景勝の横綱昇進なるか、誰が優勝してもおかしくない力をつけている三役陣の中から、誰が抜け出すか、入門わずか一場所で十両昇進を遂げた落合がどこまで活躍するか…など話題も多い場所になりそうです。
目の前の勝利にこだわるのは、プロの力士として当然です。とともに、ベテランも新人も、力のこもった相撲で見る人を楽しませ、勇気づけてくれるような相撲を見せてほしい。
ほんとうに相撲が好きなファンの願いは、それに尽きるんじゃないですか。