「わしはたたき上げ、あんた(舞の海さん)はエリート」と北の富士さん。
これにたいして「相撲界からたたき上げという言葉がなくなるかもしれないですね」と、舞の海さん。
初場所中にNHKテレビの相撲放送で、解説者の北の富士さん(元横綱)と舞の海さん(元小結)が交わした会話です。
相撲界はいま、力士が大きく減っています。
初場所の番付に載った力士は総数605人。これに対して1994年夏場所は943人もいました。若乃花、貴乃花の登場で沸いた、いわゆる〝若貴ブーム〟のときです。
あれから30年。力士は約3分の1も減ってしまいました。
春場所は就職場所です。最盛期(92年)には151人が新弟子検査に合格したそうですが、昨年の春場所は40人にも満たなかったといいます。なかでも義務教育を終えた中学卒業の入門者が減っているようです。
相撲界では、中卒力士を一般的にはたたき上げと言っています。
たたき上げとは「下積みから苦労して一人前になること」。そのたたき上げ力士が年ごとに減っていくとなると、相撲界が大きく変わっていくのではないでしょうか。
前述の北の富士さんも中学を卒業して入門し、苦労しながら横綱となり、師匠としても二人の横綱を育てるなど大変な実力の持ち主です。
歴代、そして最近の横綱も、外国出身者を含めて、15歳前後で相撲界に入ってきた人たちです。大学卒業力士で横綱まで昇進したのは輪島たった一人!。
歴代理事長の多くも、たたき上げの元力士で、大相撲界を引っ張ってきました。
学生出身力士は、アマチュア相撲のエリート。大相撲界に入れば番付でも特別扱いされ、あっという間に関取にたどり着くことも可能です。引退後、相撲界に残るための年寄株の入手を約束されて入門してくる学生もいるようです。
一方、たたき上げ力士が頂点に立とうと思ったら、途中で絶対投げ出せない。死に物狂いでたたかうしかない。
大雑把に言えば、最後まであきらめないたたき上げが減り、ま、こんなもんでいいかと、簡単にあきらめる学生出身力士が増えていったら、相撲界はやはり変わっていかざるを得ないのではないか。
中卒力士がゼロになるとは思いません。が、北の富士さんたちのやり取りの中に、大相撲界が直面する根本問題が投げかけられているような気がしました。
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