かつて魁皇(元大関。現浅香山親方)が活躍していた時は、彼が土俵に登場するだけで大きな歓声が沸きあがり、出身地の福岡県直方市では勝てば花火が打ち上げられました。
九州は実に熱心な相撲ファンが多い土地柄です。
その土地で、相撲好きな人のあいだでときおり語り継がれる力士がいます。
福岡県築上郡築上町(ちくじょうまち)出身の豊錦(とよにしき)です。
戦争真っ只中の1944年5月に新入幕。勝ち越したまま戦争に召集されてしまいました。
アメリカコロラド生まれの日系米国人2世です。187センチの長身とバネのある体で、寄りを得意とし、上手投げのキレも鋭かったそうです。入門から引退するまで一度も負け越したことがなかったのですから、実力は大変なものだったようです。
しかし、戦争のさなか、日系2世ということでスパイ扱いされたり、巡業にも特高がついてまわりました。
親方のすすめで日本国籍をとり、出身地も父の出身地の福岡県としましたが、徴兵検査のあとすぐに召集され、幕内在位はわずか一場所。戦後は相撲を続けることがかないませんでした。
数奇ともいえる豊錦の生き方にこだわってきたテレビディレクターの女性の尽力はじめ、元出羽の海部屋力士の遺族、アメリカスタンフォード大学のフーバー研究所、シアトル一世パイオニア博物館などの協力も得て、豊錦の出身地となった築上町庁舎ロビーで9日から『外国人初の関取 豊錦、築上町出身の米国移民 二世力士の生涯』と題する展示が始まりました(12月15日まで。土、日曜日は休み)。
時期的にはちょうど九州場所(13日初日)にも重なります。
築上町教育委員会の話では「期間中、遺族や関係者の懇談催しなどはない」そうです。
いま、大相撲界に外国出身力士は珍しくありませんが、戦争に翻弄された外国籍初の関取の生涯は、相撲愛好者に何か語りかけてくるものがあるかもしれません。
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