「またやってしまったか…」
取組の後、大関御嶽海(みたけうみ)は、歯ぎしりしたかもしれません。
2日目まで、三役以上ではただ一人負け知らずできた大関が、3日目、平幕の明生(めいせい)に押し出されて白星が途切れました。
対明生戦は、この一年負け知らず。ところがこの日は、立ち合いで押し切れないと見るや、我慢できなくなってさっと引いてしまいました。
元関脇の明生がこれを見逃すはずがなく、一気に押し込みました。
夏場所は、右肩の負傷が響いて6勝9敗。名古屋場所はコロナの影響で2勝5敗8休。コロナ感染を配慮した対策で大関陥落は免れ、今場所は二場所続けてのカド番におかれました。
にもかかわらず御嶽海は、初日、力強い相撲で、伸び盛りの若手、翠富士(みどりふじ)を一蹴。2日目も、先場所なすところなく敗れた逸ノ城をおっつけで起こして一気に押し込むなど、復活ぶりをアピールしました。
「カド番なんて聞くことのない言葉だった」「大関として絶対負けてはいけない。秋場所は絶対2けた(10勝以上)は絶対取る」と、あくまでも強気。復活した地方巡業では稽古の先頭に立ってきたそうです。
幕内優勝3回、誰もが〝いつ横綱になってもおかしくない〟と認める実力派力士。一方で、まっすぐに押し込んでくる相手を引きこんで、けがを誘発したこともあります。
カド番を抜け出し、さらに上をめざそうとしているいま、何が足りないか、もう一度見直しながら、邁進するしかありません。
まだ3日目、まだ1敗。これからです。