北京五輪でジャンプの高梨沙羅(たかなし・さら)さんが、ネット上で話題になっています。
7日にジャンプの混合団体が行われ、一番手で飛んだ高梨選手のスーツが規定違反だったとして、1回目のジャンプが失格になりました。そのせいで日本はメダルに届かなかったと、口汚い言葉でのバッシングも執拗におこなわれているようです。
報道によれば、高梨選手が身につけたスーツの幅が2㌢大きかったそうです。同種目ではドイツ、オーストリアの選手も規定違反になりました。試合前にチェックも受けており、いったいどうなっているの?と疑問に思いますが、この動きに、水泳で活躍した長崎宏子さんのことを思い出しました。
1980年のモスクワ五輪に11歳で五輪代表に選ばれ、史上初めての小学生五輪選手として大変な話題になりました。同五輪に日本は不参加を決めたため〝幻の五輪〟となってしまいましたが、そのあと長崎さんは1984年のロス五輪、88年のソウル五輪と2度の五輪に出場。メダル獲得はならなかったものの、間違いなく〝元祖平泳ぎ天才少女〟でした。
その長崎さんが五輪の後、郷里の秋田市に帰った時のこと。乗ったタクシーの運転手に「メダルも取らないで、秋田によく帰ってこれたもんだ」と言われたそうです。
長崎さんは凍りついたのではないでしょうか。
オリンピックは、スポーツ選手にとっては最大の目標であり世界最高の舞台。その代表になって、全力を尽くさない選手はいません。しかし勝利を目指す気持ちはどこの国の選手も同じ。その彼らと競うのですから、1位にもなれば、まったく及ばない人も出てきて当然です。
〝それが勝負というもんだ〟と割り切ることは、できないものですか。メダル至上主義というのは根深いですねえ。
10代半ばから世界の第一線でたたかい、女子ジャンプをけん引してきた高梨選手は、日本スポーツ界の財産であり、宝です。たまたま失敗したからと言って、激情に駆られて口汚くののしることは、そうした選手をつぶすことにもなりかねないのです。
バッシングで騒いでいるのは、ホンの限られた人です。
でも、そんなに度量の狭い人間ばかりではありません。
沙羅さん。今はつらいかもしれませんが、長い人生から見ればほんの一時の騒ぎです。そんな声に惑わされず、頭を垂れず、やってきたことを信じ、これからも素敵なジャンプを見せてください。
たくさんの人が待っていますよ。