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新しい年の大相撲初場所がいよいよ幕を開けます(9日初日)。そこで今場所、そして2022年も見据えた展望を考えてみます。
昨年横綱に昇進した照ノ富士は、引き続き土俵を引っ張っていく存在になりそうです。今年は「2ケタ優勝を目指す」と語っています。あと4回優勝しなければ10回には達しませんから、壮大な目標です。横綱になって、やれるという感触をつかんできたと見ます。
人間、上昇気流に乗ると、何をやってもうまくいく時期があるのでしょうか。相撲界でみても、古くは大鵬や千代の富士、さらには白鵬の活躍を見てきてそう思います。プロ野球のイチロー、大谷翔平選手からもそうしたオーラが伝わってきました。今、スキージャンプで活躍する小林陵侑(りょうゆう)選手もその一人かもしれません。
当たり前ですが、彼らは努力なしでうまくいっているわけではありません。日頃から人並み以上の厳しい稽古、トレーニングを行ってきたからこそ、です。とにかく上昇気流に乗った人は強い。不利に見える取り口を逆転してしまう照ノ富士を見ていると、そんな気がします。
彼に対抗する力士は誰か。何人かは思いつきますが、〇〇はやりそうだ、と断言できる人は、いまのところ出てきません。
かつて、横綱が強すぎて、相撲人気が下降するという現象がありました。1961年から62年にかけて連続優勝した大鵬は、1962年7月場所から6連覇と一人勝ち。ところが、この大鵬の全盛期に、相撲人気は逆に低迷しています。
テレビではNHKのほか、NET(今のテレビ朝日)、日本テレビ、TBSが生中継していましたが、相次いで相撲放送から撤退しました。〝どうせ大鵬だろう〟ということが、土俵のマンネリにつながり、視聴率が下がっていった結果でした。
これにカツを入れたのが、新鋭貴ノ花(利彰=のちの大関)です。細身の体ながら大鵬に一歩も譲らず、ねばってこの大横綱を破った相撲に、ファンは熱狂。彼の活躍がふたたび相撲人気を復活させるきっかけにもなったと言われます。
時代が違います。相撲を取り巻く環境も変わっています。ただ、独走する強者に挑んでいく新しい力の台頭は、何ものにも代えがたい魅力があります。大相撲界の今年の大きなテーマかもしれません。