幕内後半に好取組が組まれた2日目。明生(めいせい)―若隆景(わかたかかげ)戦に注目しました。
ともに26歳。これからの相撲界を背負って立つ力士の一番手と見ていますが、この日は明生が最後、自分でこけてしまいました。
立ち合いは五分。頭からあたって、激しい突き、押し合い。明生の押しに若隆景が回り込んでしのぐ。そこをさらに突いて押し込む明生が、次の瞬間、ばたりと手をついてしまったのです。
熱戦予想はあっけなく裏切られてしまいましたが、3日目から、秋場所後半に見せた気迫相撲に期待したい。
先場所後半に見せた両者の相撲は、迫力十分でした。
明生は中盤まで4勝7敗と負けが先行したものの、12日目に新横綱照ノ富士を破るなど4連勝。執念で勝ち越しました。一方、若隆景も11日目から5連勝。
終盤息切れする力士も多いなかで、両者の気力は最後まで途切れませんでした。
体重は明生が148㌔、若隆景130㌔と、160㌔近い幕内力士の平均体重を下回りますが、両者の相撲と勝ち越しは、普段の懸命な稽古なくしては考えられません。
考えてみると、かつて土俵を沸かせてきた多くの力士のなかに、それほど巨漢はいませんでした。引き締まった体で激しく動き回り、粘りある取り口で好勝負を繰り広げました。
それに比べて今は、ごく短時間で決着していす。この日も3分を超えた高安ー宝富士戦以外はほとんど10秒前後。行司が待ったをかける水入り相撲などはみられません。
重い体重は、膝にも大変な負担をかけます。ひざの故障を抱える力士が増えています。
照ノ富士は、大関から序二段まで陥落しながら、懸命の努力で横綱まで駆け上がってきました。その努力はそれこそ死に物狂いであったようです。ただ、冷静に見て彼の膝は、184㌔の体重を抱える限界を超えています。
明生、若隆景両者と、横綱照ノ富士との間には大きな差があります。しかし、その実力差を埋める稽古と努力が、そう遠くない日に開花するのではないか。ひそかに期待しています。