終盤の優勝争いが白熱化しています。一方で、うんざりするようなことが相次いでいます。
大関朝乃山(あさのやま)が、外出が厳しく制限されていた場所直前の深夜、闇営業している店に出入りしていました。さらに竜電(りゅうでん=東前頭14枚目)が、愛人の女性に中絶を強要していたというものです。
いずれも週刊誌で大きく報じられ、相撲協会が調査に乗り出しました。
朝乃山は最初、協会にうその報告で逃れようとし、竜電は取材に逃げ回っています。 これらが事実としたら、何ともやり切れません。
実は竜電について、以前、称える記事を書いたことがあります。
師匠に「将来は横綱にする」とまで言われた逸材でしたが、新十両に昇進した2012年の九州場所で、股関節を骨折。医師から「再起は無理」と宣告されるほどの大けがでした。
序ノ口17枚目まで急降下。序二段まで番付を落とした照ノ富士(てるのふじ)どころではありません。しかし竜電はあきらめませんでした。「とにかくいい相撲を取りたい」と、必死にリハビりに努め、回復してからは再び十両、幕内、小結まで駆け上がってきた〝山梨の星〟でした。
その姿に感銘を受け、十両に復帰した5年前、「ともに土俵に立つ力士の刺激、励みになる」と書きました。
昨年5月、同じ部屋で付け人だった勝武士(しょうぶし=当時28歳)さんが、コロナで亡くなったとき、竜電は「心にぽっかり穴が開いた」と語っています。しかしその時期にも、女性と関係を持ち、堕胎を迫っていたと言います。女性を性欲処理の対象としか見ていなかったのでしょうか。
力士もいろいろな弱さを抱えた青年であり、人間です。そのなかで多くの力士は歯を食いしばって稽古を積みかさね、人間としても成長してきました。必死に努力する姿が人々を引きつけてきたのではないでしょうか。
その信頼を根底から裏切るような行為は、あまりに情けなく、悲しくなります。
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