解説者論の続きです。
(前回はこちらからどうぞ)
昨日のNHKの相撲解説で尾車(おぐるま=元大関琴風)さんは、どんな話を?という質問を受けました。天空海(あくあ)-千代翔馬(ちよしょうま)戦での発言です。
勝負は千代翔馬がさっと右に変わって、天空海を一瞬で下しました(決まり手は上手投げ)。尾車さんは、この千代翔馬について「ああいう相撲で勝っちゃうから、伸びるチャンスを失い、それが出世の足を引っ張ってしまう」と指摘しました。
モンゴル出身の千代翔馬は身長183㌢、体重137キロの均整取れた体。押してよし、組んでもよし、豪快な投げ技もあります。一方で立ち合いに変化するなど安易な相撲をよくとります。
真っ向勝負を避けるから、大関、横綱も狙える力があるのに強くならないし、埋もれさせてしまう、なんともったいないことか。尾車さんの口調は柔らかながら、厳しい内容でした。
千代翔馬が横綱になれる素材と言うのは聞いたことがありません。しかし尾車部屋で何人もの力士を育てている師匠からすると、そういう素質があるらしい。その評価にも驚きました。
いまの世の中、合理性一本やりです。企業や大学でも、基礎的な取り組みや努力が軽視され、すぐ成果を求める傾向が強くなるばかり。汗水流して努力するなんてダサい、とまで言われます。
でも、それでは、基礎的な体力は落ち、すそ野が狭まって立派な素材も埋もれてしまう。相撲だって同じだと、尾車さんは言ってるのかなと思いました。
その解説が頭の片隅にあったのか、8日目の千代翔馬は、元大関の栃ノ心(とちのしん=東前頭7枚目)に真っ向から挑み、右からの豪快なすくい投げで転がしました。
的を射た解説は力士を育てるのかもしれません。
解説者論はこれでおしまい。
大関照ノ富士(てるのふじ)が小結の大栄翔(だいえいしょう)を下して、中日(なかび)でただ一人勝ち越しました。さて他の大関はこのまま照ノ富士の独走を許しますか?
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