初めてふたりきりで呑んだにもかかわらず、思った以上に話が盛り上がり、気づけば終電を逃していました。

 

二人でこのまま朝まで飲み明かしてもいいかと思ったのですが、コロナ禍が明けたとはいえ、朝まで開いているお店はまだ無く、近くにはカラオケなどもなかったため、コンビニでお酒を購入して、近くのホテルに入ることにしました。

 

急展開ではありましたが、夜出かけることになった時から、こうなることもなんとなく想定していた私は、まぁいっか、と軽い気持ちでした。

 

彼はずっとかわいいと思っていた人だし、恋愛はできなくてもいい思い出に…という考えがフワッと頭によぎっていた私は、ピュアな心をどこかに忘れてきたんだなぁと、酔った頭で考えていました。

 

ホテルに入り、乾杯をして少しした後、眠くなった私は化粧を落としてベッドに入りました。

彼も控えめにベッドに入ってきて、そこから寝たまま少し話していましたが、彼は一向に手を出してきませんでした。

 

私は不思議に思い、彼に「どうして手を出してこないの?」と尋ねました。

 

『ずっと綺麗な人だなって思ってて、こうして二人で飲めて楽しくて嬉しくて、幸せで、本気だから、軽い気持ちじゃないって証明したいから…』

 

邪な気持ちがあった自分を恥ずかしく思いました。

彼はきちんと私のことを考えてくれているのかと、ただ可愛いだけの人じゃなかったのかと、彼に対して失礼なことを考えてしまったと反省しました。

 

その日はほとんど眠ることができませんでしたが、彼は笑顔で駅まで送ってくれました。

 

男は下半身に操作されているものだと思っていた私の価値観が、少し変わった夜になりました。