本日夜は西荻窪 ZEN PUSSY にて Seymour こと Daniel Kwon 君のライブ。共演のJETリンダ氏の衝撃が生々しく(笑)ブログ書くのを困難にさせるが、今回は Seymour について。


雑誌 Trush Up vol.8 付録のDVDでその存在を知った。Daniel Kwon は韓国系のアメリカ人で、現在は東京に住んでいる28歳の若きSSW。ジョン・フェィヒーの如きフィンガーピッキングを使い、ポップで少しサイケデリックな音楽を奏でる男性である。


なに大丈夫よ
Daniel Kwon / Daniel Kwon


コンスタントに名作をリリースする Lamp のメンバーが Myspace を通じて Daniel に連絡をとったところからこのアルバムレコーディングが実現したらしいとのこと。

1曲目の Tiger's Meal の前奏がかかった瞬間に、これはジョン・フェィヒーかと疑ってしまうくらいの饒舌なフィンガーピッキングが聴ける。続いてナイーブな男性Vo.に始まりテープ逆回のようなエフェクトだったり、歌の左右パンだったりとサイケな展開が待ちうける。個人的にもう何も言う事無し!当初はアシッドフォークのミュージシャンかと思ったくらい本格的に作られている作品だった。

アシッド感が強いのはこの曲くらいで、残りの作品は同じくフィンガーピッキングを基調とするももっとポップな仕上がり。ただどれも一筋縄ではいかない、ちょっとひねくれた楽曲だったりする。そこらへんがトッド・ラングレンとかを引き合いに出される所以なのだろう。本人はビートルズやクイーン、エミット・ローズを個人的なアイドルとして挙げていた。


ライブは黒っぽいコーデュロイのジャケットにネクタイ、黒いサングラスとかなりダークな出で立ちで登場。オーディエンスはみな一音も聞き逃すまいと沈黙し、聴覚を鋭くしてるのがわかる。最近のライブは毎回そうなのだが、いい意味でかなり緊張感のあるライブ空間を作り出している感じを受ける。音に対する考え方や向かい方が若いのにできていて、見てて凄いと思ってしまう。感覚的にやってるだけなんだろうけど、既にある地点まで到達できてるのは彼の音楽マニアックスの成せる業なんだろう。凄いのが出て来たものだ。


今この記事を、今日彼から貰った MIX CD 聴きながら書いている。CDにはエミット・ローズ、ネッド・ドヒニー、スコット・ジャレット、ジュディ・シルやジョン・ビラモンテなんかに混じって武満徹や西田佐知子の歌が。まだ日本に来て数年だというのにホントいろいろ知ってるものだと感心する。大滝詠一もファーストが好きとか言ってたもんな。


今日初めてライブを観たのであろう女のコが Velvet Underground みたいと彼の音楽を評していたのが印象的だった。Daniel のギターから、声から、VUにもなにか繋がるある種のサイケデリックフィールを感じたんだろうな。同感する。


本人も言ってたが一緒にライブをやるブッキングアーティストを探してる様子。現段階でライブを選んでいない Daniel ではあるが、イベントによってはどうも浮いている存在に感じられること度々で少々肩身が狭そう。個人的には豊田さんや曽我部さん、モナレコードとかの周辺アーティストたちなんかとライブやればいいのにとか思ってしまう。しかし Daniel の音楽が、上質なフォーク系の音楽を好きな連中の間で話題になるのにそんなに時間はかからないだろうとも思っている。彼の音楽家としてのキャリアはまだ始まったばかりだからだ。できる限り応援していこうと思う。