約5年ぶりにブログを復活させようかと思う。

誰も読んでないブログであるが、当初の目的通り備忘録として機能させてかないと、その時々の思いやら風景やらをどんどん忘れてしまうから。

5年前に比べ圧倒的に聴かなくなった音楽ネタも、それでも細々と集まって来てる音盤ネタも、書き留めておこうと思う。

にしても5年でいろんなことがガラリと様変わりしたな。3日坊主で終わらないよう、あまり気合い入れずに緩く始めてみようと思う。




なに大丈夫よ
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6月になった。6月2日は平賀さち枝「さっちゃん」レコ発@渋谷7th Floorだった。平賀さち枝の他に、対バンが王舟(Band Set)とミラーボールズであった。平賀さっちゃん以外はみな初見。


少し早目に行けたのでうまい具合に着席できた。会場は予想通りの大入り満員。男性客が多かったかなあ、いろんなタイプの客層がいて面白かった。かつて渚にてのライブ会場でもお見受けした方なんかも、確かいらっしゃったような・・・。


とかぼんやり考えてたらステージにぞろぞろ人が集まって来た。トップバッターは王舟(Band Set)。本日は8人編成であった。ボーカル兼アコギ1人、トランペット兼マンドリン1人、ギター2人、ピアノ、キーボード、ベース、ドラムの8人。なんでも八丁堀のライブハウス七針をホームグラウンドにしてるSSW(バンド?)らしい。


そんな彼らの1曲目はまるでオーケストラリハーサルのような、ちょっとマヘルシャラルハシュバズのような、古くは Monochrome Set - Eine Symphonie Des Grauens のオープニングのような、バンドメンバー各自が自由に音出しを開始し、混沌とした音場を作ってしまったような、そんなナンバーだった。この1曲で本日の会場のムードをバキッと作り出したのはさすがだった。

7th Floorには初めて来たが音がいい。いい意味で各音の分離がよく、様々な楽器の役割が明解だった。アコースティックものを中心にやってるハコなんだろうか、ここんちのミックスの巧はこの後のミュージシャンたちでさらに明らかになった気がする。が、まあつまりはよかったのだな、王舟が。


音響系にも聴こえるナンバーはこの1曲だけで、以降の作品は誤解を恐れずに言うとネオアコ~NWぽい爽やかな良曲が目白押しだった。この展開は意外だった。分析してもしょうがないけど、この感じはラブクライを初めて観た時と似てるように思えた。ネオアコといえば、トランペットが Pale Fountains のアンディ・ダイアグラムを思い起こさせたり、Vo.の王舟氏の歌い方とルックスがイアン・マッカロクに似てるような気がしてみたり。。。そこらへんが好きな輩にはある種堪らない魅力があるのではなかろうか。曲の構成もよく練られてるしみなテクもある。個人的にはドラムとベースが超カッコよかった!(ベースはうら若き女の子で二度びっくり)明るい曲演奏してるんだけど、あまり楽しそうにやってるように見えないところもなんだかよかったな(笑)。もちろん会場で売ってたCD-Rは即購入した。


なに大丈夫よ

王舟 / THAILAND (CD-R 鳥獣虫魚)


王舟終わり、セットチェンジがあってステージは一変。ドラムセットとピアノを残し、いきなりがら~んとしてしまった。そこに登場した男女二人。これが本日の大収穫、ミラーボールズだった。


男女二人によるアコースティックギターロックデュオ、ミラーボールズ。マッシュルームカットに白いタートルとベスト、分厚いアコギを抱えた男性は裸足であった。いにしえのBIBAの頃のような柄とマキシなワンピースに、超ショートなストラップで同じく分厚いアコギを胸に抱いた女性。二人が揃って弾いたギターの鳴りの一音目から再び完全に会場の場の空気が変わった。初っ端の音は三上寛かと思った。一曲目は「テキサス」(たぶん)。♪~テキサスの娘 髪飾りを買いに(?)荒野を走る 西はどっちだ ~てな感じの曲。何の予備知識もなくライブを体感し、この一曲で完全にもってかれてしまう。

エキサイトして時折ジャンプする男性。酩酊したバレリーナのように、足を交差させ、もつれる様にステップを踏みリズムをとる女性。そんなパフォーマンス含め、呆然と観ているこちらの中に溢れるアドレナリンを抑えることはできなかった。


Vo.の女性の声のせいなのか、ここで歌われるテキサスは北米のテキサスなんかじゃなく、若松孝二の荒野なのだった。何故だかATGなんかの邦画サントラの世界のように聴こえた。素晴らしい個性。2本のアコギのアンサンブルも絶妙なガレージフォーク。いや、サイケデリック・アコースティックロック。緊張感をたっぷり孕んだ間の取り方も秀逸。久々に、静かに興奮した。


聞けば名古屋のアーティストなんだとか。彼らのことは全然知らなかった。世の中は広い。


なに大丈夫よ
mirror balls / 創世記 (redrec/sputniklab)


ミラーボールズのパートが終了。店内BGMはキョンキョンやらパフュームを始めとしたアイドルものにスイッチ。AKBかと思ってたら、あれがももクロというのか。。。


お待ちかねの平賀さち枝。本日はガーリーなワンピース姿で登場。こりゃあアイドルそのものだわ!とか思う。彼女が作る音楽とのちょっとしたギャップ(個人的にはあるような気がするのだが)に少し戸惑う。。。


なんとなく、非常になんとな~く開始されてしまった本日の主役、平賀さち枝のステージは、新曲で名曲を約束されている「目黒川」からいきなりスタートした。この曲はまだ未完成のショートVer.なう。いずれ長くなるのだろう、つーか長尺にして欲しい鮮やかにシーンを切り取る名作。俺がつぶやいたせいではないと思うが、やって欲しいとつぶやいといてよかったような気もしてグッときつつもニヤニヤしてステージを拝見した。やはり名曲だった。


2曲目からステージにゲストを招き「YOU」「恋は朝に」と鉄板曲を連発。何度も思うが、恋は朝にって凄い言葉だな。関係なかったが、ここいらの時点からも感じられた本日の彼女は、この日を迎えて嬉しくて堪らないといった様子。とにかく始終ニコニコで、例えて言うと、らっきょが転がっただけでも面白いというようなレベルだったように思う。しかし彼女の笑顔、特に今日は輝いてたなあ。いやあ~可愛かった!


ステージ前半は嬉しさいっぱいの気分の反面、緊張感のないもので、観てるこっちが少し焦ったりもしたが、完全にソロになってからの後半は凄くよかった。楽曲の持っている本来的なムードと意味が比較的ストレートに響いてきて、やはりこうでなくちゃと思ってしまった。時折挟んだカバーや新曲はまだ熟成させてる途上。しかしながらやはり名曲の予感のするものが多く、今からもうセカンドが楽しみだ。


期せずして出会った王舟とミラーボールズも最高だったし、平賀さち枝レコ発はホントに行けてよかった。ここまでくれば、GWあたりから続く若手の優秀なミュージシャンとの邂逅はまだまだ続きそうな気配であるな。引越し後の荷を全部解き、早いとこ音楽をまた聴ける環境にしないといけないと思った昨晩だった。

下書きのまま放置してた記事があったのであわてて編集する。


5月19日は桃月庵白酒独演会・白酒ひとり。初の国立演芸場であった。


万病円

お化け長屋

- 仲入り -

甲府ぃ


チケットを忘れてしまい折り返した為完全な遅刻。前座の扇ちゃんには間に合わなかった。扇ちゃんは金明竹だったそう。師のマクラから入れたので全部聴けたのはよかったな。国立演芸場、確か改装されたと聞いていたのだけれど、以前と変わらずやはり音の抜けがあまりよろしくない。これでも改善されたんだろうか?途中から入ったので一席目は入場口近くで聴いたのだが、細かいところがどうにも聴きづらい。天井の高さ?マイクの指向性の問題?よくわからないけれど、これまでの内幸町ホールに比べ音響的にはだいぶ落ちる印象であった。


一席目の万病円は初めて聴く噺。もちろん面白かったけど、やはり二席目のお化け長屋が最高だった。師の高座で数回聴いたことあったが、まあ人物描写の細かさはまた数段アップしたような感じを受けた。しっかりとしたキャラ造形と確かな演出、惚れ惚れするような間の管理で噺にぐいぐいと惹き込まれてしまった。いやあ笑った笑った!


しかし、滑稽噺はここまで。なんとな~く予感がしてたのだけれど、本日最後の演目はなんと人情噺、甲府ぃであった!初めて聴いたのは確か左龍師の高座でだったように思う。未聴だが志ん朝師もかけてた演目なんだな。そんなに大根多ではないけれど、今ごろの初夏にはぴったりな爽やかな人情噺だった。

人情噺とは言ってもそこは白酒師の高座である。ところどころクスグリを入れつつちゃんと笑わせてくれる。主人公の善吉もいいのだけれど、個人的には豆腐屋の親父さんが凄くよかった。


これから年末に向けて師の人情噺、さらなる大根多を期待します!