仕事終わりで神保町シアターへ、みつめていたい 若尾文子 「温泉女医」を観に行く。打ち合わせが押し、開演ギリギリに滑り込んだ。会場は8割の入り。19時15分開始と、仕事終わって来れる時間とあって盛況だった。16ミリによる上映。


昭和39年の大映作品で監督は木村恵吾。

出演:若尾文子、丸井太郎、山下洵一郎、三原葉子、菅井一郎、中村鴈治郎、柳家金語楼、飯田蝶子


東京から温泉町に赴任した腕利きの美人女医を取り巻く人間模様を明るく描いた喜劇作。ずっと観たかった作品だったが叶わず今回初めて観れた。


若尾文子がとにかくかわいい。今回は喜劇ということもありお色気ムードのない爽やかな役どころであった。べっぴん女医にメロメロになる中村鴈治郎や柳家金語楼らが最高。こんな爺さんもホントに減ったな。風光明媚な温泉町の風情と昭和の人々の大らかさに観客席は終始和みっぱなし。劇場にはハナからクスクス笑い声が漏れていた。自分も含めてだが、観てる客のほとんどがあの頃の日本に帰りたいと思っていたに違いない。そんな雰囲気が充満してたような気がする。地味だけどいい映画だった。


若尾文子に絡むおいしい役は丸井太郎。この作品の前年くらいにテレビドラマ「図々しい奴」で主役を務め、当時としてはお化け視聴率を叩き出した役者さんだ。この作品の数年後、彼は自殺してしまう。非常に惜しい役者だと思う。明るく、愛嬌とユーモアがあって誠実そうなところもこの作品にぴったりだった。映画のラスト近く、三沢あけみの「島のブルース」がかかる中、丸井太郎が若尾文子に愛を告白するところで不意に鼻がツーンとなってしまった。こんなに明るいキャラの人が何故自殺なんか・・・。冥福をお祈りしたい。


予想に反してなんだか仕事が忙しくなってきてしまった。今回の特集、いったい何本観れるかなあ。。。。