実際遠い存在だったのだ、これまでは。落語界の奇才(異才?)と呼んでしまっても差し支えないだろう柳家喬太郎師匠のこと。


本日3日(火)は柳家喬太郎独演会@グランドアーク半蔵門「富士」。FM東京開局40周年記念の落語会なんだとか。今回は珍しく最前列のそれも上手側で拝見できた。喬太郎師に生涯で一番近い席だった(笑)。600人の客入り。凄い人気だね。


井戸の茶碗

「喬太郎のキンキラ金曜日」公開収録

- 仲入り -

ラジオの向こう(新作)


最初に古典演って師匠のラジオ番組の公開収録を挟み、最後に新作の根多おろしという趣向の会であった。


喬太郎師匠の、それも独演会の、それも最前列で観れる喜びは格別で今日は心から笑い倒そうと決めていた。これより前、最後に観たのが文芸座で演った「カマ手本忠臣蔵」というとんでもない(笑)新作だったので今日もあんなシュールなのが飛び出すのか期待と不安な気持ちでいたら、最初は「井戸の茶碗」であった。師の噺で聴くのは初めてだったが、さすが喬太郎師である。これまで聴いたどの噺家とも人物のキャラ立てが違ってた。正直者の清兵衛も単なる正直者ではない非常に人間臭い(?)人物になっていたし、高木も妙にパキパキしたキャラでツボだった。30分の予定が50分演ったと言ってたな。喬太郎師の落語は観る時なんでだかいつも構えちゃうのだが不思議と今日はリラックスして観れた。


続いて高座にテーブルと椅子をセットしてのラジオ公開収録。師匠も洋服に着替えての登場。サプライズゲストの麻丘めぐみさんに師匠かなり焦ってた(笑)。個人的にはこれがよかった!終始しどろもどろの師匠がぐっと身近に感じられた瞬間だった。師匠の高座はあまりに凄すぎてこれまで置いてかれることしばしばだった。面白いんだけどなにか凄すぎてポカンと観ているしかない高座が多かった印象。あくまで個人的感想なのだが。それがこの公開収録の様子観て変わった。師匠も人の子だったのだ(笑)。さらにファンになった。

会場のお客さんから出た「異常気象」「人妻」「円生襲名」の三題噺。落研の二人を主人公にした噺。きっかり3分。これがまたもの凄かった!キレの良さに会場の拍手鳴りやまず。やっぱ凄いわ。


仲入り後は新作根多おろし。ラジオ番組が取り持った男女の縁の噺。人情噺になるのかな。スタジオと電車と過去と今と、縦横無尽に場所と時間を跨ぐ映画のような構成だった。こういうの演ったらホントに師匠は上手い。つかこうへいさんが好きなのも頷ける。最近観た中では志の輔師の噺の感じが近いイメージだったな。聴いてて非常に贅沢な気持ちになった。


くすぐりに入ってた「薔薇族」(笑)始め、実は本来アナーキーでシュールなのが師の真骨頂なんだとは思う。が、そこはキャリアと志の賜物なのか、それもこれも飲み込んでの師の目指す次ステージをおぼろげながら感じ少し唸らされた次第。ホントに目が離せない噺家である。


帰ったら甚語楼師匠から9月鈴本上席のご案内が届いていた。甚語楼師が主任なんだとか。メンツも白酒師、三三師参加と豪華。お礼のメールを差し上げたらお礼の返信をいただき嬉しかった。その後朝まで仕事する。