北千住から地下鉄を乗り継ぎ三越前へ。土曜夜はお江戸日本橋亭にて柳家甚語楼独演会。

自身で主催する独演会は意外にも今回が初めてとのこと。


第一回 柳家甚語楼の会


初天神 / 柳家ほたる

子ほめ / 柳家甚語楼

不動坊火焔 / 柳家甚語楼

- 仲入り -

金の大黒 / 柳家右太楼

佃祭 / 柳家甚語楼


80名限定と聞いていたが会場はそれ以上いたんじゃないかな。満員御礼の盛況であった。白酒師や三三師とは客層が違い、年配層が多い印象。


開口一番は二ツ目のほたるさん。当初予定されてなかったのでなんだか得した気分。以前は兄弟子、甚語楼師と白酒師の二人会で前座を勤めていたはず。噂には聞いていたが高座は初めて観た。

キャラ立ってていいな。初天神は彼にぴったりの根多だと思う。76年生まれ。ずいぶん若く見えるなあ。確か怪談噺が得意だったような。機会あれば是非聴いてみたい。


続いて甚語楼師登場。白酒・甚語楼二人会をメインに比較的多くの高座を観てきた噺家さんだ。師匠にしか描けない登場人物たちはどれも愛嬌たっぷりで、その噺はいつ聴いてもほっとさせられる雰囲気を持っている。

一席目の「子ほめ」。こんな噺やるんだと少し意外だったのだが、権太楼師匠に初めて教わった根多だったんだとか。今日これをやるというのは、甚語楼師のいろんな思いがあってのことなんだろうな。今日来れてよかった。にしても「子ほめ」ってこんなに面白い噺だったっけ?いろんな噺家さんのを聴いてきたが今日の「子ほめ」が一番おもしろかった。

「不動坊火焔」は初めて聴く噺。これも最高!これがまた甚語楼師にぴったりの噺だった。心から笑わせてもらった。ディアゴスティー二のくすぐりが不発気味だったところもおもしろかったな(笑)。


今日あらためて思ったのだが、甚語楼師の演者としての力量は本物だ。表現力のレベルがめちゃくちゃ高い。それでもって柳家一門特有(?)の丁寧なシーン展開とくれば、こんなにわかりやすく共感できる噺もないだろう。ほぼ同期の白酒師、三三師、ここらへんの世代の噺家はみんな凄いな。


中入り後は二ツ目の右太楼さん「金の大黒」。これも初めて聴く噺だったが、最初が「長屋の花見」と同じ展開で、間違ってるんじゃないかと観ているこっちが焦りました。右太楼さんは2回目である。すらっとしたいい男。なかなかスマートな高座であった。サゲまであと2分のところまでしか兄弟子の甚語楼師から教わってないとのことで、「サゲまであと2分くらいの金の大黒でした。」で終りだった(笑)。


最後は甚語楼師「佃祭」。白酒師で聴いたことがあった。「不動坊火焔」が素晴らしかったので、最後は軽く流すのかなと勝手に思っていたら大間違い。これも熱のこもった素晴らしい出来だった。とにかく出てくる全員のキャラが立っておりそれが有機的に絡んでサゲに向かう感じとでも言おうか。サゲは少々蛇足の感がなきにしもあらずであるが、元々こういうサゲなんだろうな。しかし本当にうまい噺家さんだ。


他の方のブログ見て気づかされたのだが、今回の会のキーワードになってたのが「初」ということ。なるほどそうか。1回目の独演会をする甚語楼師らしい考えかもしれないなあ。

初めて覚えた噺が「子ほめ」、学生時代初めて落語の楽しさを知ったのが「不動坊火焔」(これ聞き逃してた!)、そして初めて師・権太楼さんを認識した噺が「佃祭」だと言うのだ。他の方のブログでこのことを知り、なんか胸が熱くなった。甚語楼さん、本当にいいなあ。


ほぼ同時期に真打になった三三師や白酒師が先にバーッと人気が出た感じもするが、ここにきて甚語楼師の猛追が始まった。独演会、バンバンやっていって欲しい。近いうちにチケット取りにくい噺家さんになるんだろうな。追っかけて行こうと思う。次回は11月14日の予定とか。絶対に行く!


会が終って祐天寺に移動。いつも行ってるてっこんが満席ゆえ、本日は居酒屋はがくれへ。

ここの焼きトンは安くて旨い。センベロのつもりだったのだが、調子乗って頼んでたら一人4000円になってしまった。いい落語会だったし、今日はまあいいや。。。