土曜日はお江戸日本橋亭の落語会「喬弟仁義」に行く。柳家さん喬師の直弟子5人による一門会。


さん市 / 子ほめ

左龍 / 悋気の独楽

喬之助 / 夏泥

- 仲入り -

小太郎 / あくび指南

さん若 / 青菜


さん喬師のお弟子さんたちをこんなにもまとめて見るのはこれが初めて。でもこの会も既に20回目らしい。

いずれも既聴の根多だったが、さすがはさん喬師直伝。どの噺も非常に描写が細かく、以前に聴いた噺よりも想像を掻き立てられた。

前座さんも二ッ目さんも、みんな優秀。前座であるさん市さんも堂々としており、二ッ目の小太郎さん、さん若さんもなかなかの実力派であった。

特に初めて見た小太郎さんは、何かちょっと話しただけですでに面白いというような得なキャラクターで、独特な味のある噺家さん。最初はなんかその独特な持ち味に大丈夫かな~と思ったものの、噺が始まってびっくり。すごく丁寧でしっかりと演じていて安心して笑うことができた。まだ若いのにすごいな。さん喬師一門は喬太郎師も輩出しており、なかなか個性的なラインナップで侮れないと感じた。ただ、高座に上がるまでと、下がるときがちょっと惜しかったな~。。。


真打の左龍師は、口演をなるべく見るようにしてる贔屓の噺家さん。人物描写がとても細かく繊細で、非常に上手い噺家だと思う。最近は渋い根多が続いていたので今回の根多は嬉しかった。左龍師に合ってるような気がした。こんな左龍が見たかった。6月の三三・左龍二人会も今から楽しみだ。

もう一人の真打、喬之助師も実は初めての噺家さん。声がでかくよく通り、動作もでかい。豪放なキャラを演じる彼は文左衛門師を彷彿とさせた。二人はこのGWの間4~5日も一緒に呑んでたらしく、仲がいいとのこと。似てくるのかもね。最初おっかなかった泥棒が、相手からやり込められる度にシオシオになってゆく様はさすがだったな。いい噺家を知りました。


左龍師がマクラで言ってたけど、最近の前座さん、二ッ目さんは寄席に出れる頻度がすごく減ってるらしい。それくらい噺家が増えてるらしいのだ。修行中、実際の客を前にする経験が限られてきている。だからこその一門勉強会であると。なるほど、そうかもなあ。

噺家が増えてもバリバリに活躍してるのはその中の一握りなんだろう。売れに売れてる喬太郎師、三三師、白酒師、志の輔師や談春師らは切磋琢磨してきた結果で現在のポジションに収まった。芸を磨いてこれた人とそうでない人。芸の世界は厳しい世界だ。当たり前なんだけど。前と状況が変わっても、各自勉強して自分なりの「噺」を模索する。落語はその点において真剣なもので、その真剣さに我々はヤラレるのだ。喬太郎や白酒のロマンにヤラレるのだと思う。

実際、寄席に出れる頻度が減った時代になったのかもしれないが、現二ッ目の一之輔、菊六、朝太、わか馬、たけ平、そして今回の小太郎、さん若ら次世代を担う優秀な若手たちが数多く落語界には控えている。ガシガシ行ってほしいものだ。


と、今回の落語会で思ったりした。喬弟仁義、次回は9月に、なんと国立で予定されてるらしいです。