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読書日記

神郡が読んだ本の感想や、諸雑記を書いていくブログ。
知り合いには見せられないなあ。

お花見に行きました。近くに桜の名所の大きな公園があります。
日曜とあって人手が多く、非常に賑やかでした。





・小林泰三『安楽探偵』光文社 (2016/2/9)
・江戸川乱歩『幽霊塔』東京創元社 (1997/09)
・吉田篤弘『パロール・ジュレと紙屑の都』角川書店(2010/3/27)
・松波太郎『LIFE』講談社 (2014/1/29)
・森博嗣『どちらかが魔女』講談社 (2008/8/29)
・皆川博子『皆川博子コレクション8あの紫は わらべ唄幻想』出版芸術社 (2015/8/28)



・小林泰三『安楽探偵』

――街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。熱狂的ファンの中年男に、執拗に真似をされる恐怖を語る人気アイドル。(「アイドルストーカー」)何者かに太る薬を盛られていると訴えるダイエットマニアの女。(「ダイエット」)事務所から一歩も出ないものぐさな探偵の推理とは?全編に仕掛けられた巧妙な罠と黒い笑い。奇才が放つ連作ミステリー。――


小林泰三で探偵といえば『密室・殺人』のイメージが強くて、また前提から巧妙な叙述トリックで騙されているんじゃないかと疑って掛かりました。
結果で言えば騙されましたが、思っていたのとは違うタイプ。

今回は連作短編で、探偵の元に依頼人が来て事件を語り、その場で解決するというスタイル。一話一話のトリックは巧妙ですが疑って掛かればなんとなく見えるものもあったり、逆にその裏をかかれたりもしました。『ダイエット』のオチが好きです。
そして最終話。確かにね、そういえばそうなんですよね。でもそうくるか! という感じでした。

好きな小林泰三です。軽快な会話と理屈っぽい探偵、つっこむ助手。良いです。



・江戸川乱歩『幽霊塔』

――因果な来歴から幽霊塔と呼ばれるその塔で、北川光雄は宿命的な出逢いをする。鄙にはまれな麗人、野末秋子の凄絶とさえ映る美相に心は乱れて、文目も分かぬ恋路の闇を惑い歩く。数奇な境涯にあるらしき懸想人に妻問を拒まれるも愛染断ちがたく、私情を捨てた献身を誓うのだったが―。全編を彩る計り知れない謎、金銀財宝を秘めた西洋館を舞台に展開する波瀾万丈の翻案大ロマン。――


原作は外国の小説らしいですね。知りませんでした。翻訳ロマン。黒岩涙香が翻訳したものをさらに書き直したそうです。

持ち主が謎の死を遂げ莫大な秘宝が眠るという、世間では「幽霊塔」と呼ばれる屋敷を買い取った判事の北川。その甥の光雄は、その塔で謎の美女・野末秋子に出会う。
一目で心を奪われる光雄。しかし女には何か秘密があるようだ。
幽霊塔の所以となった老女殺害事件、光雄の婚約者の嫉妬、秋子の周囲に見え隠れする過去、やがて起こる殺人事件――

蜘蛛屋敷や「救い主」の館、地下迷宮と場面を変えて展開するストーリーに、徐々に明らかになる秘密は読んでいてわくわくしました。
首なし死体とか、怪しい科学者とか、隠し部屋とか、江戸川乱歩が大好きそうなものばっかりで書くの楽しかっただろうな。

個人的には、完全に当て馬の光雄の婚約者、栄子が実は好きで、性格凄い悪いんだけどそこが人間的で行動力もあるし、憎めないんですよね。逆にヒロインの秋子は完璧すぎて面白くないというか。
ただ後半の地下迷宮の場面の秋子はちょっとかわいかった。光雄の心情と相まって好きなシーンです。

弁護士の黒川とか栄子みたいな強烈なキャラクターはどちらかというと今の時代の方が人気出る気がします。ワンモアリメイク希望。



・吉田篤弘『パロール・ジュレと紙屑の都』

――紙魚となって時空を超え書物を渡り歩く諜報員・フィッシュ、彼を追う刑事・ロイド、凍った言葉を解く4人の“解凍士”、秘密を握っていると思しき水晶の眼の女・レン―凍った言葉をめぐるマジカル・ファンタジー。――


言葉が凍って結晶になる。それを解凍してその声を聴く。
短編でありませんでしたっけ、この話。それを膨らませた長編なのかと思いましたが気のせいかもしれません。

キノフという国があります。そこでは言葉が凍って結晶<パロール・ジュレ>になります。その秘密を探るために送り込まれた諜報員<11番目のフィッシュ>。本の中を紙魚になって移動したり、人を本の中に閉じ込めたり、本の中の登場人物に変身したりしながら謎を追います。
またある時は敏腕刑事ロイドの視点。またある時は4人の<解凍士>の視点。またある時は……と繋がっているようで繋がっていないような断片を並べて話は進んでいきます。

全体的な読後感は恋愛小説だったのかもしれないというところです。
正直にいえばよくわからない(意味がではなく繋がりが)ところも多いのですが、ストーリーより空気感を楽しむ小説です。
キノフという国。そこに住む人たち。この国の過去、成り立ち。事件、日常、非日常。一つの世界が出来上がっていますので、世界観を楽しみたいときに紐解くと丁度良い感じです。

好きなシーンは、爆破事件のあったときに紙屑が舞い上がるところ。この世界も紙の中の世界なんだろうかと思わせる幻想的なシーンでした。
あと独身向けスーパーのマリア。解凍士の一人が解凍したセリフ。素敵です。



・松波太郎『LIFE』

――猫木豊、31歳。脳内で「365日毎日“だらだら且ぶらぶら”できる国の王」として暮らす、ダメ男。ある日、パートナーの宝田から妊娠を告げられ、“だらだら且ぶらぶら”に未練を残しつつ、現実の生活と向き合い始める。しかし出産後、こどもの先天的障害が判明し、宝田は動揺を隠せない。いっぽう猫木は、ダメ男のくせにそんな宝田への不満を隠せない。二人は互いに見当違いの三くだり半をつきつけ合うのだった―。第150回芥川賞候補作。――


震災後文学というんでしょうか。どこかにそういう部分が見えます。

読んだのは初めてでした。文体が面白いです。何ミリリットル~何ミリリットルの間で癒える喉の渇きだったのだ、とか。
しかしよくこんなダメ男が書けますね。礼儀は知らないしいい年して常識ないし、喋り方だらしないくせに言葉に厳しいし、脳内では流暢に日本語操るし。
でも善人なんですよね。というか馬鹿なのか。そこが腹が立つんだけど憎めない。

あと『西暦二〇一一年』の最後、不覚にも、ぐっときてしまいました。いい話でした……。



・森博嗣『どちらかが魔女』

――「犀川&萌絵シリーズ」から著者自身のセレクトによる、珠玉の短編8作を収録。――


収録作品は、
「ぶるぶる人形にうってつけの夜」
「誰もいなくなった」
「石塔の屋根飾り」
「マン島の蒸気鉄道」
「どちらかが魔女」
「双頭の鷲の旗の下に」
「いつ入れ替わった?」
「刀之津診療所の怪」
です。

これね、完全にジャケ買いというかタイトル買いで、まさかシリーズの短編集だとは思わなかった……中ちゃんと確認しろよって話です、はい。
でもタイトル秀逸ですよね、「どちらかが魔女」ってキャッチー、素敵。

えーっと、このシリーズはたぶん3作品くらい読んだかなというレベルなので、正直「ぶるぶる人形にうってつけの夜」と「刀之津診療所の怪」の繋がりがさっぱりわかりませんでした。萌絵じゃないんだ? という感想です。でも全部読むかな、このシリーズ。
まあでも、そんなに詳しくなくても普通に推理して楽しむ分には問題ないです。謎も解きがいがありますし。機微はちょっとわからないですけど気にしなければ。

ちなみに表題作の「どちらかが魔女」はそんなにでした。「石塔の屋根飾り」のオチが笑えて面白かったです。



・皆川博子『皆川博子コレクション8あの紫は わらべ唄幻想』

――わらべ唄をモチーフに8つの幻想的世界を描いた表題作。艶やかで妖しい10篇を収めた「妖笛」ほか単行本初収録の「あやかし幻想奇譚」シリーズを併録。――


8作目です。
「妖笛」シリーズは時代小説、「あの紫は わらべ唄幻想」は時代物と現代もの半々、「あやかし幻想奇譚」は現代ものですだいたい。

相変わらず妖しく幻想的で耽美、退廃的な匂いのする世界でした。夢と現実の境目が実に曖昧です。
わらべ唄をモチーフにしたらしいのですが、元の唄を一個も知らなかったのでそれはどうなんでしょう。十分楽しめましたが駄目ですかね。
結構設定としては医者の子どもが多かったのは何故だろうか。

どれも話が濃厚で読むのが大変でした。睡眠時間削って読む覚悟でどうぞ。悪夢見ますが。





一緒に行った人が桜を見ずにすれ違う人を見てはありゃあどうだこうだ言うのです。
桜を見ようぜ、人はどうでもいいから。
まあでも確かに人しか見えないし、神社の敷地内にごみを積むのはどうかと思いますけどね!

大判焼き美味しかったです。
たこ焼き美味しかったです。
広島焼き美味しかったです。

ごちそうさまでした。
桜も綺麗でした。


それではまた。
さようなら。



『この際、“神”の話はどうでもいい!
 それよりも“真実”を見て欲しい!』