まだまだ現役。 | 読書日記

読書日記

神郡が読んだ本の感想や、諸雑記を書いていくブログ。
知り合いには見せられないなあ。

ゲームセンターCX観てると、ファミコンとかスーパーファミコンとか実機でプレイしているようですけどまだ動くんでしょうかね?
うちのはぎりぎり稼働しますがソフトによってはセーブできない、というかデータ飛んだり、ちょっとの振動でガピーとバグったりするので物凄く気を使って遊ぶんですが。
また筋肉マンマッスルタッグマッチとかやりたいなあ。





・夢野久作『あやかしの鼓』角川書店 (1998/04)
・藤沢寿『きのこ森の妖精』新潮社(2004/10発売)
・万城目学『鹿男あをによし』幻冬舎 (2007/04)
・平谷美樹『吉祥の誘惑 採薬使佐平次』角川書店 (2013/11/27)
・皆川博子『皆川博子コレクション5 海と十字架』出版芸術社 (2013/11/25)
・クラフト・エヴィング商會『どこかにいってしまったものたち』 筑摩書房 (1997/06)



・夢野久作『あやかしの鼓』

――鼓作りの男が想い焦がれた女性へ、嫁ぐ時に贈った自作の鼓。その音色は尋常とは違い、皆を驚かせた。それは恐ろしく陰気な、けれども静かな美しい音であった…。夢と現実とが不思議に交錯する華麗妖美な世界。表題作をはじめ、その粋を集めた夢野文学の入門書ともいえる決定版の一冊。――


短編集です。角川ホラー文庫から出ていますが、ホラーではないです。ああいや、怪談はホラーか。

『死後の恋』――舞台は1918年以降のロシア。とある男が語る、嘘か真か不可思議な物語。題材的にはありがちですが、森で惨殺された兵士の描写は本当にグロテスク。

『瓶詰地獄』――三つの瓶に詰められた三つの手紙。それは無人島に取り残された二人の兄妹の手紙だった。タイトルが素敵です。

『悪魔祈祷書』――古本屋の親父が語る存在してはならない本の話。この親父なかなかやります。

『支那米の袋』――こちらもロシア。踊り子が恐ろしい目に遭った事件を語る。倒錯しています。

『難船小僧』――その美少年が乗った船は必ず沈むという。科学と迷信はどちらが強いか。酷い話ではある。

『幽霊と推進機』――こちらも科学と幽霊の対決。

『怪夢』――夢十夜的な。不気味な話が多いです。こんな世界は嫌だ。

『白菊』――脱獄囚が入り込んだ人のいない人形の館。すわ怪異が起こるかと思いきや意外な結末。

『いなか、の、じけん』――いなかで起きた可笑しい事件の数々。非常に泥臭くて面白い。

『木魂』――幼いころから自分に呼びかける声が聞こえる男。妻と幼い息子を亡くした男は毎朝電車に轢かれる予感を覚えている。怪談です。

『あやかしの鼓』――呪われた鼓を巡る入り組んだ話。最後の一文で急に現実に戻されハッとした。こんな遺書を書く為に生れてきたとはなんという人生だろう。胸を衝かれました。



・藤沢寿『きのこ森の妖精』

――アウラを放つ“きのこ”の写真と谷川俊太郎によって書下された詩とがコラボレートするファンタジックな写真集。
きのこ自体がオーラを発する写真と、谷川俊太郎の詩・文が幸福なコラボレーションを奏でる写文集。――



きのこ好きです。谷川俊太郎が写真に詩を付けていて、他のきのこについて書かれた文も引用されていたり。きのこ好きにはたまらない一冊でした。
でも谷川さん正直だから、細長いきのこに「ちんちん」なんて言ったらもう、そうとしか見られません……。



・万城目学『鹿男あをによし』

――大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ―出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。――


ドラマだと藤原君が女性になってる? ヒロイン霞むんじゃないか? まあいいんですけどどうでも。
以前一度読み掛けて辞めた、と思っていたんですが、一字も見覚えなかった。開いてすらいなかった模様。

『鴨川ホルモー』より読みやすいと感じました。でも馬鹿っぷりはホルモーのほうが好き。

奈良に二学期限定の教師としてやってきた主人公は、ある日鹿に話し掛けられて「サンカクなんたら」を探して来いと言われる。それがないと大地震が起きて日本が危ないかららしい。
鹿、狐、鼠にそれぞれ使者がいてそれぞれの思惑があり――。
やたら反抗的な生徒の堀田イト、他校のマドンナ先生、かりんとう大好き藤原君、渋い教頭、イケメン美術教師などなど、誰が使者なのか? サンカクとは何か? 地震はどうなるのか? といった話。

面白い、面白いですが、予想の範疇を出ないというか、予定調和的というか、良くも悪くもエンターテイメント作品という印象でした。でも思っていたよりは面白かったです。
ホルモー読んでいても思ったのですが、無理に日本滅亡とかスケール大きくしなくても、喋る鹿、段々鹿に変わっていく頭、研究室の仲間との確執・邂逅とか、その辺りのよさげなテーマを丁寧に書いた作品が読んでみたいと思いました。終わりよければすべて良しみたいになってしまっている気がしたので。



・平谷美樹『吉祥の誘惑 採薬使佐平次』

――吉原で、御大尽の肥前屋が亡くなった。持病などはなかったが、なぜか遺体の側には、宝相華の模様がはいった薬包が落ちていた。同心の省吾は、薬屋を調べ始めるが、薬包の中身の正体は分からない。そこで、植物に詳しい採薬使・佐平次の所へ相談を持ち込む。佐平次は、その頃花街で流行っていた、惚れ薬や性欲剤などではないかと推測して、花街にある薬屋などに、話を聞きに行くことに。そして、吉宗へ報告しに行った佐平次は、花街での四十~五十代男性の“病死”が多発していることを知る。薬包の中身を調べていくうちに、「抜荷」の存在に気付いた佐平次が追うと、それは長崎奉行と繋がっていき―!?植物学のスペシャリスト、正体不明の『薬』に挑む!!新解釈時代ミステリ!!シリーズ最新作!――


はい三作目です。役者勢ぞろいの巻です。個人的には一、二巻は長い前置きだったのだ。

一巻で活躍した同心の省吾と、二巻で登場の佐平次のライバル(?)尾張藩の鬼頭さんも出てきます。もちろんいつもの梨春さん、友ノ進おじいちゃんもいます。

採薬使という薬に詳しく、しかも隠密でもあるという設定をやっと活かせたと思います。見ただけ嗅いだだけで薬を分析するのは薬師。訛りもあやつり巧みに何度も変装するところは隠密。
阿片の蔓延を阻止するため奔走、抜荷摘発の為に奔走と忙しいですが、人情ありちゃんばらありとしっかりまとめるところはまとめています。
貧しい藩が生き延びる為に考え出した処世術が誰かの不幸に繋がる不幸、そこに付け入る悪の芽、切り捨て御免の世界。理不尽ですね。

ただやっぱり、万能過ぎるんですよね佐平次さん。そんなすぐに英語覚えられるんですかね。軽々と山越えするし。強いし頭いいし。うーん、特徴がない……。
だったら抜けてるけれど一所懸命な省吾のほうがキャラ立っています。

でも間違いなくこのシリーズで一番面白かったです。いっそ主人公省吾にして、省吾視点で最後はドラえもん的な位置で佐平次さんにおいで願った方が面白いんじゃないでしょうか。主人公で損しているキャラクターだと思えてしまいます。

(やっぱりSFのほうが好きだなぁ。)



・皆川博子『皆川博子コレクション5 海と十字架』

――伊太と弥吉、2人の少年を通して隠れキリシタンの受けた迫害、教えを守り通そうとする意志など殉教者の姿を描き尽くした表題作ほか、長篇「炎のように鳥のように」や貴重な短篇4篇を収録した豪華傑作選、いよいよ完結!――


以前読んだ『皆川博子コレクション2 夏至祭の果て』と同じ題材同じ主題似た流れ、でした。
ただこちらの方がだいぶ救いがあり、甘い話ではあります。児童文学らしいので。これをシビアに書き直したものが『夏至祭の果て』で、確かにそちらのほうが直木賞候補っぽいです。
違うところを挙げていった方が早いですね。

・主人公が少年・元々キリシタンではなく、むしろキリシタンが嫌い・どこまでも清廉なキリシタンの少年マチアス・二人は友人で仲が良い・主人公には夢がある・流人村が壊滅しない・鉱山送りはマチアスだけ・全体的に爽やかでライト……等ですかね。

『夏至祭~』の市之助は本当に何の希望もなく主体制もなく、流されるまま生きてきたけれど、伊太はしっかりもので船乗りになる夢がある。幼馴染の弥吉のほうがどちらかというと市之助よりの、普通の小市民といった感じ。マチアスはいい子。

そりゃあ読後感がいいほうが好きですが、読む人の胸を抉らずにはおられない市之助もかなり好きなキャラクターでした。

他に長編『炎のように鳥のように』と、『シュプールは死を描く』『暗い扉』『戦場の水たまり』『コンクリ虫』の短編が収められています。

『炎のように鳥のように』は天武天皇、持統天皇、大津皇子の時代を背景に、優しいがゆえに王には向かない草壁皇子と、山の民である少年小鹿の生き様を一章ごとに交代で語る叙事詩的作品です。一人称だけど。
有名な歴史の裏に隠された人物の物語っていいですよね! ロマンを感じずにはいられない。
ただ立場が違いすぎるので、二人の友情がどうとかではあんまりなかったです。むしろ草壁皇子が奴(奴隷)の立場に落ちた小鹿を気に掛けるほどよくない結果になったり。

尊いとか卑しいとか、小鹿にはその概念すらなかったのに、気付けばこうもはっきり差が開いてしまうのは悲劇なのでしょうかね。

他だと『コンクリ虫』がかわいかったです。



・クラフト・エヴィング商會『どこかにいってしまったものたち』

――本書には、「クラフト・エヴィング商会」の長くて風変わりな歴史が、さまざまなかたちで封じ込められてもいます。本書は、著者が取り扱ったものたちの中で、さまざまな理由により「今は存在していないもの」すなわち「どこかにいってしまったものたち」のデータだけを、まとめたものです。――


はまってしまいましたクラフト・エヴィング商會。
こういうのいいですねえ。いかにも本物のように緻密に作り込まれた架空の図鑑。

光ではなくて闇を放つ「アストロ燈」、桃の食べ頃を計る為に、恐ろしく複雑で大量のねじを精密に巻くことを要求される「水蜜桃調査猿」、その場所の過去の映像を観ることが出来るが、それを観る為には同じ年月が必要とされる「時間幻灯機」などなど、たくさんの不思議道具がこれでもかというくらい本当っぽく紹介されたカタログです。
説明書とかチラシとか部品の一部とかが紹介されていて、本当によく思いつくなあと感心しきりでした。

これは間違いなくおすすめの一冊です。
しかし、この本の構成なにかにすごく似ている気がするんですよねぇ……。なんでしたろう。





というわけで、また。
さようなら。


『こんな時代にだって希望は持てます!
 労した先に幸福が待っております!
 これはその幸福の予告編です!
 すわっ!』