ちょっと寒いけど

 青空がまぶしいほどのいい天気。

 

 散歩に出かける。

 まずは神社。

 散歩の最初はマンションの裏にある神社からと決めている。

 神社の裏の階段がマンションから2,3分のところにある。その階段を上る。

調子が良ければ何回か繰り返し上る。

今日は上って、降りて、上った。大体そのくらい。たまにもう一回。

 

 参拝したらいい気持になって、今日は海まで歩こうと思った。

 海まで歩いて30分ほど。

 ちょうどいい距離だと思う。

 程よい有酸素運動は脳由来神経栄養因子の分泌を促す。つまり脳の働きをよくするらしい。

 

 ずっと思い出せずにいた昔お世話になった人の名前がやっとわかった。

 亡くなられてからすでに10数年経っているのに、ふと懐かしい顔が浮かんできた。でも、名前は浮かんでこない。

 最近よくあることで、そのうち思い出すだろうと思ったのになかなかどうして、すっきりしない。どうにも気になって頭から離れず、とうとう40年ほど前の住所録を探しだしてやっとわかった。

 一度は思い出したつもりになっていた。

 その名前は、

「伊藤さん」

何度か声に出してみると、浮かんだ笑顔とどこか違和感がある。

 違うか、と思ってみても、それ以外の名前を当てはめたらもっとざわざわする。

「鈴木さん、佐藤さん、……」

 笑顔は鮮明に浮かぶのに、しっくりする名前が伴わない。情けない。

 2週間、考えた。

 普通はそのくらいも経てば思い出すのに、

気持ちの半分で間違いない、とも思っているせいかそれ以上のアイデアが浮かんでこない。

どうにも気持ち悪い。

 何かが違うような気がする。漠然と。

 昔の住所録を探して、探して、

 そして、やっと見つけた。


「加藤さん」

 なるほどなあ。

 中途半端に納得したわけだ、と合点した。

加藤さんの笑顔がいつもにもまして笑っている気がする。

 

 こんな風だから、

 退化していく脳に、少しは抗いたい。

 鞭打ちたい。

 その為にも適度の有酸素運動は大事らしいと読んで、出来れば朝と夕2回は早足散歩する。いや、したい、と思っている。

 

  今日は海まで歩いて、頑張った感がある。

 脳内血流も十分に活性化して脳由来神経栄養因子も少しは分泌されたと思う。

 

 同時に胃内消化因子(?)も十分に活性化したらしく、空からになった気がする。

 帰り道は食欲が止まらない。

 とんかつが食べたい。

 エビフライもいいか。

 から揚げもいいな。

 

 二日後には実家に戻る。

 当分は母好みの食事になって、

 とんかつもから揚げもエビフライも食べられない。この二日で消化しておかなければ。

 

 これも脳の栄養因子、かな。