Mは、ハンサムで可愛い、でもGよりはずっと、男らしい感じの、背の高い男性だった。私、彼の存在を、利用した。私は彼の目を、Gの目をみるよりも長く見て話したし、もう、私の今日をはじめるのだから、と、Mの到着前は、私は忙しいから、と言っていたのに、彼の前で、Mには、私は今日、部屋のことで会わないといけない人がいるけど、ホテルのプールに行きたかったら言っていいよ、なんて、言ったりした。
Gは少し、あれ、と、思ったと思うし、そんな表情を見せた。彼は、僕たちに早く行って欲しかったら、もう行くよ、と、少し心配そうに、(これは本当に、彼の真心での気づかいだと思う)、そしてその横で、Mは、おい、プール行こうぜ、暑いよ、プールがいるよ、と、言ったりしていた。
それでもまだ少し、私は前の夜を想って、胸が痛かった。まだ胸がつまるような想いが、消し切れなかった。でもそれはやっぱり、好きな人に振り向いてもらえない痛みじゃなくて、誰かにとって、自分がどうでもいい存在だって知ってしまう、痛み。ああ、そうか、こうやって書いてみると、よくわかる。
午後の3時を過ぎたころ、Gは突然、6時には空港に行かないと、段ボールをとりに戻らないといけないと、言いだした。Mはこのとき、2つめの問題である、インドネシア行きのチケットがとれていなかった。さらに3つめの問題の、インドネシアでGと旅する予定の、マウンテンバイクも、買えていなかったから、インドネシア行きそのものを、迷っていた。
彼は車でここへ、大陸を移動してくる途中にチケットを買う予定だったんだけれど、途中車が一度煙をあげたので、12日の飛行機の予定時刻までにここへ他釣りつけるかわからないのに、チケットだけ買うわけにはいかなくて、一度保留にしてしまったことで、ぎりぎりのこの日に、インドネシアから、さらにインドネシアの島へ渡るための、3つのチケットと、マウンテンバイクと、マウンテンバイクを、飛行機の預け荷物にチェックインするための段ボールが必要で、四苦八苦していた。
もし、Mがインドネシアに行くならば、彼は車を置いてゆくので、私は空港に、この旅人2人を、送っていかないといけない。でも私は6時に、シェアハウスの人がinspection(私を入れてもいいか、面接にくる?)に来る予定だったから、ホテルへ6時に戻ってくるには、今、出ないといけない、って、Gに伝えると、Gは、わかった、と言って、外で煙草をふかして、マウンテンバイクがここで買えないままインドネシアへ行くべきか迷うMに、決断をうながしに行ってくるね、と、外へ出た。そして2人はしばらく話したあと、部屋へ戻ってきて、荷物をまとめはじめたので、私が、「行くことになった?」と聞くと、2人でとってもクリアに、「Yes!」と言って、なんだかどちらも、ちょっと、頼もしい顔になっていた。