道尾秀介の作品。
2010年に文藝春秋から刊行。
「別冊文藝春秋」の、2009年11月号から2010年7月号に連載していた。
直木賞を受賞している。
道尾秀介は、「名前を知っているけれど読んだことのない作家」で、今回読んだ。
主人公は、小学5年生の慎一。
父を病気(おそらく癌)で亡くし、母と父方の祖父の3人で暮らしている。
学校は転校してきたというのもあり、あまり馴染めない。
春也という、関西からの転校生と話すようになり、近くの山に登るようになる。
話の舞台は鎌倉で、海も山も両方出てくる。
食卓に並ぶおかずも魚が多い。
山でヤドカリを飼う(プラス、ある行為をする)のも、海と山が一緒になっている感じ。
2人と話すようになったのは、鳴海という同級生の女の子。
母が、慎一の祖父の操縦する船の事故で亡くなっている。
父が、慎一の母と逢って深い関係になっていることがわかる。
ここの描写が、文章の目線は小学生なので、何が起きているのか、分からないなりに分かる感じ。
かえって生々しかった。
小学生ってこんなに色々考えて、暗い?と思うほど、作品の温度は低い。
最後に沸点が上がって、わーっとなる。
つまらなくはないけれど、直木賞…?という気もする。
他の作品をもう一つくらい読んでみたい。